なぜ金正恩は、南北首脳会談に言及したのか 北朝鮮国内向け「新年の辞」で異例の呼びかけ

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2015年も新年の辞を発表した北朝鮮の金正恩第1書記。「南北首脳会談」に言及するなど韓国向けの言及が目立ったが、その真の狙いは?(KCNA/新華社/アフロ)

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が1日、恒例の新年の辞を発表した。金第1書記がメディアを通じて肉声による新年の辞を発表するのは、2015年で3回目となる。

「社会主義強要しない」、表面上は赤化統一を否定

今年の新年の辞は、特に韓国との関係について興味深い表現が飛び出した。「われわれ(北朝鮮)は、南朝鮮(韓国)当局が本当に対話を通じて北南関係を改善しようとする立場であれば、中断された高位級接触も再開でき、部門別会談も可能と思う」と述べた。さらに、「雰囲気と環境が整えば、最高位級会談もできない理由がない」と述べ、南北首脳会談開催の可能性を最高指導者自ら表明した。

また、「われわれは人民大衆中心のわれわれ式(朝鮮式)の社会主義制度が最も優れているが、けっしてそれを南朝鮮に強要しないし、これまで強要したことはない」と言及。韓国の朴槿恵大統領は、これまで「吸収統一」による方法を提示してきており、これに対抗する姿勢を示したものと考えられる。

吸収統一といった「制度的統一」を韓国は追求するな、という意味だ。統一のためには、南北がそれぞれ持ち続けた思想と制度を超越して、民族共通の利益に合わせるべきという主張と考えてもよいだろう。

一方で、「核・経済建設の併進路線」について言及し、「(この路線に従って)先端武器の開発に拍車をかけ、訓練を強化して万端の戦争準備を行うべき」と述べ、核開発については従来の姿勢から変化がない。

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