日経平均、日本人エボラ感染警戒で反落 午後1時過ぎには一時293円安に

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 12月29日、日経平均は反落。米株高などを背景に前場は高値圏を維持していたが、日本人男性にエボラ感染の疑いがあると伝わると指数はマイナス転換した。東証のロゴ。4月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 29日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反落。米株高などを背景に前場は高値圏を維持していたが、日本人男性にエボラ感染の疑いがあると伝わると指数はマイナス転換。午後1時過ぎには先物売りが膨らみ、日経平均は一時293円安となった。

もっとも短期筋による売り仕掛けとの見方が強く、売り一巡後は下げ幅を縮小。個人中心の中小型株物色も下値を支えた。

米ダウ<.DJI>の史上最高値更新などを手掛かりに、日経平均は寄り付きで12月8日以来、約3週間ぶりに1万7900円台を回復したが、買いは続かず、始値がこの日の高値となった。年末高の「掉尾の一振」に対する期待感は根強かったが、外国人投資家の動きが依然鈍く、主力株への買いは限定された。

そのなか、シエラレオネから帰国した30代の日本人男性が、エボラ出血熱に感染している疑いがあると伝わると先物主導で下げ転換。年末で板が薄かったため、急速に値を崩し、午後1時に1万7800円台で推移していた日経平均は、午後1時22分には1万7525円まで値を切り下げた。

もっとも売り一巡後は下げ幅を縮小。「エボラ関連の報道を受けた投資家の不安心理を利用し、海外短期筋などが先物売りを仕掛けたが、売り一巡後は買い戻された」(ネット系証券)という。東証2部や新興株などに個人投資家の物色が続いたことも市場心理の安定化につながった。

マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「エボラに対する警戒感で3年連続の年末最高値は難しくなったが、その分、新年相場に対する発射台が低くなった。年明けは新規資金の流入も見込まれ、統計的に株式相場が上昇しやすい『1月効果』が期待される」と述べた。

個別銘柄では、富士フイルムホールディングス<4901.T>がしっかり。エボラ関連報道を受け、関連銘柄に短期資金が向かった。日本エアーテック<6291.T>やアゼアス<3161.T>がストップ高となったほか、日本アビオニクス<6946.T>、ダルトン<7432.T>も買われた。

東証1部騰落数は、値上がり1090銘柄に対し、値下がりが646銘柄、変わらずが123銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値      17729.84 -89.12

寄り付き    17914.55

安値/高値   17525.66─17914.55

 

TOPIX<.TOPX>

終値       1424.67 -2.83

寄り付き     1433.8

安値/高値    1409.53─1433.84

 

東証出来高(万株)193247

東証売買代金(億円) 17966.82

 

(杉山容俊)

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