ディーラーとして再出発 ヤナセの苦闘と原点回帰

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本社と現場が連携 質での世界一を目指す

新車販売で狙うのは大都市圏、特に輸入車の3割を売り上げる東京だ。「確かに費用はかかるし他社との競争も激しい。しかし、東京を制する者は日本を制する。ここを重点的に攻めたい」(西山社長)。

販売の合理化も進める。現在の新車販売は、メーカーとの契約により1ブランド=1店舗制が原則。しかし収益源のベンツ、やっと黒字化したBMWとアウディを除けば、あとの9ブランドは赤字。1店舗で複数のブランドを販売できるマルチブランド体制を目指し、メーカーと順次交渉を進める意向だ。

中古車販売も卸売りから小売りに舵を切る。今までは顧客から下取りした中古車の大半はオークション市場で販売していたが、社内のアフター部門で下取り車の整備点検を行い、自社の中古車店で販売する方向に転換する。同じ販売台数で採算が改善、さらにアフター部門の稼働率が向上することで一石二鳥を狙う。

財務面でも売掛金の回収期間を早め、販売在庫の圧縮などの合理化を進める。「楽観視はしていないが、13年には財務状況はかなり改善する」(高尾康夫・上席常務執行役員)。

一般的に、自動車販売の利益率は低い。そのため「本社主導ではなく、現場の店長がしっかり勉強して、利益を稼ぎ出す組織を作らなければならない」(西山社長)。支店でのコスト管理を徹底し、利益率改善につなげる方針だ。

現場の意識も変わった。「本社が戦略を考え、支店長が戦術を考える。本社と現場の距離は格段に縮まった。今は“全員営業”という雰囲気だ」(北河原東京支店長)。

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