『ソーシャル・ネットワーク』--経済改革には起業の活性化が必要《宿輪純一のシネマ経済学》

SNS(交流サイト:Social Networking Service:ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が広がっている。本作品は、会員数5億人(日本国内は約180万人)という世界最大のSNSである「facebook」誕生の裏側を描いた伝記ドラマである。筆者もMixi, Twitter に加え、facebookも利用している。

最近でも、facebookは、ゴールドマン・サックスから4億5000万ドル(約370億円)を調達し注目を浴びた。企業価値は推定で500億ドル(約4兆1500億円)。非上場ながら米ヤフーなど有力ネット企業をしのぐ評価を得ている。2012年にはいよいよ上場との報道も流れている。創設者は史上最年少の億万長者として、雑誌『TIME』の表紙も飾った。

オタク系のハーバード大学2年生マーク・ザッカーバーグ(主人公)はボストン大生の恋人・エリカと口論になり「アンタがモテないのは性格がサイテーだからよ」と言われて振られる。

それに腹を立て、女の子の顔の格付けサイトを立ち上げるがトラブルとなりすぐ閉鎖される。その経験を経て、04年初頭、友人を増やすためのサイト「facebook」を親友と共に立ち上げる。
 
 サイトは瞬く間に学生たちの間に広がり、社会現象を巻き起こすほど巨大に成長していくが、カネや女、裏切りの渦で、高額の訴訟に巻き込まれていくさまを映し出す。

監督は、次々に話題作を送り出すデヴィッド・フィンチャー。主な作品には『エイリアン3』『セブン』『ゲーム』『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』等の秀作が並ぶ。ピンクなどの明るい色は嫌いで、暗い色彩の映像が彼の特徴である。

本作品では、米国の起業の仕組みがよくわかる。ハーバート大学では起業を教えており、就職は念頭に置かれていない。筆者は、それが米国経済の強さの要因の1つであると考えている(ちなみに、映画が描く時代のハーバード大学学長は、クリントン政権で財務長官も務めたローレンス・サマーズ氏で、その様子がそっくりなのには驚いた)。
 
 しかし、何よりも印象的なのはこの主人公が、このfacebookに全てを掛け、トラブルによって成長していくところだ。映画評論家になって気がついたが、米国映画のテーマはいつも「自分の成長」である。この点で脚本も含め非常によく描かれている。個人的にはアカデミー賞をいくつかもらうと確信している。

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