ピンタレスト、"未来志向型"SNSの勝算 「なりたい自分」への道しるべ?

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ピンタレスト共同創業者のエヴァン・シャープ氏(撮影:今井康一)

共同創業者のエヴァン・シャープ氏によると、ピンタレストの最大の強みはズバリ「発見できること」にある。「ほかのSNSでは現在のことや、過去の記憶にフォーカスしているが、われわれがやっているのは未来のこと。たとえば、旅行だったり、アパートの内装だったり、髪型だったり、これからやりたいことの計画を練っていくうえで生じた疑問や問題を解決することを支援するのがピンタレストだ」。

同じノンバーバル型のインスタグラムと比べても、「ピンタレストが共有するのは『写真』ではなく、あくまで『オブジェクト』。その写真から元のリンクへつなぐことができ、そこから情報を得ることができる」(シャープ氏)。たとえば、「手作りケーキ」というボードを設けて、ケーキの写真を集めることができると同時に、その写真をクリックすれば、元のサイトにいってレシピなどを見ることができる、というわけだ。

正確な答えが探している答えとは限らない

となると、むしろ検索サービスが競合になるが、「ピンタレストは検索と違って具体的な答えがかえってこないのが特徴」だとシャープ氏は言う。「たとえば、夕食のレシピや髪型をどうするか、ということに対する正解は一つじゃない。そうした問いに対して、ピンタレストでは各ユーザーの問いに対してrelevancy(関連性)の高い可能性を示す役割を果たす」。

また、検索の場合はアルゴリズムが自動的に疑問に対する答えを導き出すが、ピンタレストの場合、ある言葉を検索すると、ピンタレスト上のすべてのボードに貼ってある写真の中からユーザーの問いかけに近い写真が検索結果として導き出される。

つまり、結果の基となる写真の量が検索結果の“精度”につながってくるが、「今やボードの数は7.5億、ピンの数は300億に上る。こうしたベースが大きくなっていることで、一人一人に関連性の高い答えが見つかる確率が上がっている」(シャープ氏)という。検索結果は「同じことに興味を持っている人がピンしている写真」が基準となるため、検索サービスに比べて“人”が選んだ要素も強いと言えるだろう。

日本においても、13年11月の日本語サービス開始以来、日本語での検索結果が増えてきたことなどで利用者は着実に拡大。シャープ氏によると、サービス開始後、半年間で利用者数は80%増えたという。当面は、コンテンツを増やすことでユーザーベースの拡大に注力する考えで、そのうえでも企業の公式アカウントの増加に力を入れたいとしている。

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