(第46回)大変化が起きた時には試行錯誤が必要になる

(第46回)大変化が起きた時には試行錯誤が必要になる

史上最大の企業であったAT&Tが、通信技術の大きな変化に対応できなかったことを前回述べた。むろんAT&Tは何もしなかったわけではない。従来のビジネスモデルから脱却すべく努力をしたのである。

AT&Tが失敗した理由は、方向を誤ったことだ。ただし、こうした評価は、今だからこそできることである。

アメリカでは、すでにCATVは普及していた(受信地域が広いので、地上波では限界があった。このため古くからCATVがテレビ受像の基本手段だったのである)。そして、CATVが電話線より高性能であるのは明らかだ。従来の電話線や無線で大量の情報を送れるようになるとは、その当時には到底考えられなかったのである。だから「これからのインターネットはCATV」と判断するのは、当然のことだった。

では、CATV以外の方向をめざせば、成功していたのだろうか? そうとも言えない。実際、ワールドコムは、「光通信こそ未来の通信網」と考えて、膨大な光通信網を建設した。しかし、それが重荷になって2001年に破綻した。

技術が大きく変化したとき、将来の世界がどのようなものになるかは、当初は予測できないのである。

「選択と集中が必要」といわれる。確かにそうだ。比較優位に特化することが重要であり、総花的では収益率が低下する。しかしそれは、「何が比較優位か」に関して情報がある場合に言えることである。将来が不確実な場合に、何を選択し、何に集中するかは実に難しい。

したがって、将来の世界がどうなるかわからない場合には、「社会全体としてさまざまな方向を試みる」という対処法しかありえない。その中から、条件に適合したものが残ってゆくのである。

こうした過程は一見して無駄なものと見えるかもしれない。最も有望なものに資源を集中させるほうが効率的に思われるからだ。しかし、「最も有望なものは何か?」がわからないのである。

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