いつの間にかゲーム屋、それもなんか面白い--南場智子 ディー・エヌ・エー社長[上]

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 アメリカ東海岸まで行って、ようやく解放感を手にする。そこで、父との関係にも変化が起きた。その日その日の報告を書き送る南場に、父も週イチで返事を書いた。距離を置き、“安心”を得て初めて向き合う父の字は、いい字だった。ひたすら怖かった支配者は、意外にも「面白い人だった」。海を隔てて初めて、父と娘に“対話”が生まれた。

そして就職。津田塾へ戻り、外資系コンサル会社の頂点、マッキンゼー・アンド・カンパニーに挑んだ。先輩に誘われ説明会に出向くと、優秀さを鼻にかけた学生たちが詰めかけている。それが、かえって南場の勝ち気をそそった。「超カッコイイ!」。高倍率を突破した。父から「おめでとう」の一言をもらうと、すぐさま、内定が出ていたもう一つの有名外資系コンサルに走り、顔中満面の笑みで辞退を申し出た。

マッキンゼーのダメ社員 「アホです」と言えるまで

ところが2年後、南場は再びアメリカへ「逃亡」することになる。

入社初っぱなからパンチを食らったのだ。南場の告白。「えーらい仕事ができなかった」。モーゲージのセキュリタイゼーションの市場性? 住宅ローンの証券化だと教えられたところで「??」。意味を理解するのに丸1日かかる。[中に続く]

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(中村陽子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年1月8日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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