2015年、激変のマンション市場はここだ! 濃淡クッキリ!浮かぶ「日本橋」、沈む「湾岸」

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となると、もう一段の価格上昇もありそうだ。杉原氏は「築地周辺は平均単価で300万円台中盤から後半に、日本橋周辺は300万円台前半から後半になるのではないか」と見る。エリア全体で、2015年は2014年よりも10%強の価格上昇が見込める、というわけだ。

湾岸エリアは人気に陰り?

東京オリンピックの選手村が建設されることもあり、中央区の湾岸エリアは人気が急上昇した(撮影:今井康一)

一方で、需要が頭打ちになると見られる地域もある。東京オリンピックの開催決定から一気に人気がヒートアップした中央区の湾岸エリア(月島、勝どき)だ。

このエリアのマンション販売戸数はかつて年300~400戸程度だったが、2009年ごろからじわりと増加。2013年と2014年は年1000戸を超える大幅な販売増だった。もともと1棟当たり700~800戸の大型物件が多いエリアだが、足元は「ドゥ・トゥール」や「勝どき ザ・タワー」を筆頭に1000~1500戸の超大型物件が売り出されている。

オリンピック特需と相まって、販売価格もうなぎ登りである。2000年代前半は平均単価200万円に過ぎなかったが、2014年は322.8万円と、実に50%以上の急騰劇を演じた。中心購買層が従来の国内富裕層だけでなく、海外の投資家層にまで拡大しているようで、このような顧客層の広がりが需要を押し上げた格好だ。

ところが、この勢いが2015年は一服しそう。「全体的に、足元は販売ペースが落ちてきている。(顧客層が拡大したとはいえ)購買層が高所得のサラリーマンや富裕層、海外投資家などに限定される影響が感じられる。現在の価格水準がほぼ上限になってくる可能性は高い」と、杉原氏は語る。ファミリー層などの実需が本格的に出てくるかどうかが、今後のカギを握りそうだ。

話題の物件が市場全体の需要を膨らませた立川~八王子エリアも、2015年は勢いが鈍化しそうだ。

2014年にこのエリアの話題をさらったのは、何といっても7月に販売が開始された「プラウドタワー立川」だ。平均価格7534万円、坪単価342.6万円の超高額マンションにもかかわらず、総戸数319戸のうち第1期分の230戸が発売と同時に完売した。立川はJR中央線・立川駅周辺で再開発が進んでおり、地域の利便性が高まっていることが、高額物件の販売好調の背景にあるようだ。

プラウドタワー立川の登場でエリアの注目度も飛躍的に高まり、かつ周辺の物件に割安感が出たことから、2013~2014年に販売された計8物件はいずれも好調と見られる。旺盛な需要を受けて、エリア全体の2014年平均単価は238.2万円と、過去最高の水準に達した。

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