バターが足りない!クリスマスに間に合うか 

酪農減少が止まらぬ限り、問題は解決せず

クリスマスまでに大手乳業メーカー4社はバター増産を急ぐ(写真は雪印メグミルクの「切れてる雪印北海道バター」)

「バターは去年の5割しか手に入っていない」。東京都東久留米市でケーキ店を営む鈴木真純さんはあきらめた口調で語る。国産原料にこだわっているため、バターを使わずに作れるお菓子を増やし対応中だ。

「バター不足」が世間を騒がせている。スーパーでも購入数を制限して販売している状態だ。原因は原料となる生乳の生産量減少。酪農家の相次ぐ廃業に加え、乳を搾るために必要な牛の種付けが前年度の猛暑の影響で芳しくなく、2014年度の生乳生産量は732万トンと見込まれている(下図)。10年前より約1割減った計算だ。そのうえ、保存の利かない牛乳や生クリームの生産が通常は優先されることから、バターは生乳減少の影響を受けやすい。

国内の酪農保護のため、バターには高い関税が課されている。だが厳しい現状を踏まえ、政府は国内生産量の約15%に相当する、1万トンのバターの追加輸入を決定した。この輸入により在庫を確保した大手乳業メーカー4社は、最も需要が高まる12月、家庭用バターの供給量を3割増やす予定。年度末にかけ徐々に品薄感は弱まりそうだ。

餌代や後継者不足で苦しむ酪農家

ただ生乳減少を食い止める特効薬はなく、来年度も本格的な生産回復は厳しい。

北海道鶴居村で4代にわたって酪農を営んできた斉藤和弘さんは「餌代や電気代、トラクターを動かす燃料代が上がってきている」と語る。農林水産省の調べによると、生乳100キログラムを生産するのに必要な経費は計6970円(13年度、労働費を除く)。10年前より1545円も増えた。経費の半分以上を占める餌代が上がっていることなどが主な要因である。

朝5時から夜7まで断続的に働く斉藤さんは、「やりがいのある仕事」と前置きしたうえで、収入について「赤字ではないが、見合わないと感じている」と戸惑う。

こうした厳しい状況が後継者不足という問題を生み出す。これまでは大規模化による一戸当たりの乳牛数増加で、生乳の生産量減少にある程度の歯止めをかけてきたものの、それも追いつかなくなっている。

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