日銀の「資産購入等の基金」は、J-REITの資本調達を活性化させるか?《ムーディーズの業界分析》


SVP−チームリーダー 竹之内哲次
アナリスト 山本秀康

日銀が追加金融緩和策の一環として10月に発表した、「資産買入等の基金」の対象となったJ-REIT投資口の買い入れが、12月15日以降開始と発表された。日銀の発表は投資家に好感され、投資口価格の上昇につながっている様子で、金融危機以降1000を下回っていた東証REIT指数は、11月中盤以降、1000を上回る水準で高値を更新している。

J-REITの公募増資は、2010年において徐々に復活の兆しが見られる。6つの投資法人によってこれまで合計で1300億円をやや上回る公募増資が行われ、不動産への新規投資や負債の削減に充当されている。09年の公募増資による調達が総額約630億円であったことに比べれば、ほぼ2倍の調達が行われていることにはなるが、それでも過去の実績値に比べればまだ低い水準といえよう。

現状、多くのJ-REIT発行体において、各社のレバレッジ水準は運営目標とするレバレッジ目標レンジの上限近くで推移していることから、保守的な財務運営を維持しつつ、資産規模対比である程度まとまった不動産投資を行うには、負債調達よりも公募増資による調達がカギを握る。しかしながら、実際には、たとえばPBR(株価純資産倍率)が1.0倍を下回っているなど、自社の投資口価格が低迷していることを理由に、増資による調達には積極的ではない発行体も少なくないようだ。仮に、今回の日銀の施策が功を奏して投資口価格の上昇の契機となれば、これまで増資に二の足を踏んでいた発行体においても、増資の検討を後押しする要因となろう。

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