押し寄せる取材の波、「生意気」とお叱り

『もしドラ』の著者が明かす②

しかし、やがて分かったのは、ぼくの周囲の人たちは、これまでそうした取材をあまり経験したことがない――ということだった。だからなるべく常識的に、穏便にこなそうとしていたのである。

秋元康さんの場合

全国の書店、ネット書店で好評発売中!

それに対し、ぼくは長年秋元康さんのアシスタントをしていた経験があった。そうして、門前の小僧習わぬ経を読むで、秋元さんがインタビューに答える姿をずっと見ていたのである。

 そこで記者たちは、秋元さんが突拍子もないことを言えば言うほど喜んだ。その方が、記事の見出しを作りやすいからだ。人目を引きやすいからである。例えば、AKB48を作ったきっかけを問われると、「最初はショーパブを作ろうと思っていたんです」と正直に答えていた。これは、普通なら「イメージが悪い」とあえて隠すようなことだ。しかし秋元さんは、そういうふうに人目を引くようなことを言った方が、記者も喜んでくれ、いい記事になるというのを経験的に知っていた。

 実際、そういうことを言えば言うほど、その記事は面白くなり、結果的に多くの人に読んでもらえた。だから、生意気に思われようとなんだろうと、面白いことを言うに越したことはなかったのだ。

 それを分かっていたから、ぼくもそこで突拍子もないこともあえて言うことができた。しかし、ぼく自身にそうした経験がなかったら、きっと周囲の人の言う通り、穏便に常識的な答えをくり返していただろう。そうしていたら、売上げに影響したかどうかは分からないが、少なくとも記事の扱いはもう少し小さくなったはずだ。

次ページテレビの場合、ボケ役は「凶」
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
高崎高島屋の売り場革命

閉店が続出する地方や郊外の百貨店。逆風の中、高崎高島屋は全国的に有名な和菓子店や化粧品ブランドを次々と誘致し、集客を伸ばす。地方百貨店の活路を示す取り組みをリポート。