【産業天気図・石油】原油高を追い風に好調。今年いっぱいは安定か

拡大
縮小

1バレル=50ドル台(WTI)目前にまで迫るなど、1991年の湾岸戦争以来の最高値を更新した原油価格。石油各社としては今まで、原油高を石油製品には転嫁できず、合理化で吸収するしかなかった。ところが今回、特にガソリンは前期の1リットル=90円台から、今年9月には120円にまで肉薄している。この“追い風”もあり、石油各社の業績は好調だ。
 原油高は増収要因となるだけでなく、在庫評価の改善も伴い、収益をカサ上げする。すでに新日本石油と昭和シェル石油、新日鉱ホールディングスが増額修正を行った。しかも新日石の営業増益率は前期比2.4倍、昭シェルは8.6%増、コスモ石油が55%増と、各社、増益決算を見込んでいる。
 だが、原油価格は“水モノ”。テロや事故で上昇する半面、投機資金の売り逃げで一挙に暴落する可能性もある。ひとたび原油価格が下がれば、石油製品への下落圧力も出かねない。
 少なくとも年内は高止まりが予想され、「晴れ」と見られるが、その先は極めて不透明。空模様は「晴れ時々くもり」といった状況だ。
【大崎明子記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT