【産業天気図・医薬品】中堅以下は総じて苦戦、業績順調な大手も常に外資からの買収危機と隣り合わせ

医薬品業界の空模様は、総じて「くもり」と言えよう。
 まず、今年4月は2年に1度見直される薬価改定の時期にあたり、業界平均で4.2%の薬価引き下げが行われた。また、一般に製薬業界には高収益企業が多いが、近年は世界的な開発競争の激化で大型新薬1品目の開発コストは500億円~800億円と高騰。開発期間も10~12年と長期化している。この結果、中堅以下の製薬企業は、既存薬が薬価引き下げでジリ貧に追い込まれる中、それを補う新薬を出すこともままならない厳しい状況下に立たされている。
 一方で、大手製薬企業は世界に通用する大型新薬を主軸に順調に業績を伸ばしていく傾向にあり、業界は2極化が進んでいる。2004年度の第1四半期(4~6月期)は、国内首位の武田薬品工業が高血圧症治療剤ブロプレスの伸長などで、売上高・利益共に前年同期を上回る順調な滑り出しを見せた。また2005年4月に藤沢薬品工業と経営統合予定の山之内製薬も、非医薬品事業の譲渡で減収となったものの、残った主力の医薬品事業は排尿障害改善薬ハルナールの牽引で拡大を続けている。 
 国内2位の三共は主力の高脂血症治療薬メバロチンの特許切れにより今期は減収減益を余儀なくされる。ただ、今年5月に国内で投入された大型新薬カルブロック(高血圧治療剤)の市場浸透により、来期以降の業績拡大が見込まれている。
 とはいえ、国内首位の武田も世界では、首位のファイザー(米)に医療用医薬品の売上高規模で5倍近くの差をつけられ、15位と大きく順位を落とす。欧米では世界4位のアベンティス(仏)が規模で下回る13位のサノフィ・サンテラボ(仏)に買収されるなど業界再編の動きが活発で、国内企業は、いつ外資に飲み込まれても不思議ではない。国内では勝ち組とされる上位企業といえども、決して将来を楽観できないのが現状だ。
【藤尾明彦記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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