【産業天気図・空運】羽田新滑走路オープンやビジネス需要の戻りで「晴れ」が続く

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10年10月~11年3月 11年4月~9月

2010年秋の羽田空港の国際線拡張に沸いた航空業界。景気の先行き懸念はあるものの、目下順調な回復軌道にあり、11年9月まで「晴れ」の状況が続きそうだ。

国内線では景気回復を受け個人旅行の回復が堅調だ。全日本空輸(ANA)では今4~9月の旅客数が2095万人(前年同月比3・7%増)、会社更生手続き中の日本航空(JAL)は1838万人(同4%減)、スカイマークが197万人(同28%増)を記録した。国内線3割、国際線4割の規模削減を進めているJALは実数では減少したものの、搭乗率は62.3%と2009年度の60%から改善中。単価は微減傾向ながら、今下期もANAとスカイマークは上期以上の伸びを計画している。

一方、海外出張などビジネス客を中心に、より順調に回復しているのが国際線だ。今4~9月の旅客数は、ANAが260万人(同19%増)、JALが498万人(同8.9%減)。ここでも先のリストラの影響でJALは減少しているが、搭乗率は75%と09年度70.8%から大幅に改善している。またANAの場合、単価も同18%増と好調で、下期の旅客数も同7%増の計画。水準としてはリーマンショック以前に戻った状況にある。

こうしたことから今期の3社は増収増益の計画。特に大手の半額並み運賃で伸び盛りのスカイマークは営業利益3倍増、またJALは更生計画により減価償却費や退職給付費用等が減ることもあり、前期の赤字から一転して営業利益1000億円を超す大幅な黒字化を達成する見込みだ。自然災害やテロ、経済危機などのイベントリスクで大幅な国際線の需要収縮に見舞われることのある航空業界だが、それさえなければ潜在需要の大きい羽田の国際線拡張による効果を含め、順調な足取りとなりそうだ。
(野村 明弘=東洋経済オンライン)

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