【産業天気図・化学】世界経済の回復ペース鈍化で化学部材も調整局面に、後半「曇り」へ後退

予想天気
10年10月~11年3月 11年4月~9月

今上期(2010年4~9月期)に「晴れ」空が広がった化学業界の景況感は、下期(10年10月~11年3月期)以降、「晴れ」間が続きながらも年度後半に渡って、少しずつ「曇り」空へと変化していく見通しだ。リーマンショックからの反動増によって、09年春以後続いてきた世界経済の回復ペースが鈍化。自動車やデジタル家電などの主要な需要市場の減速とともに、化学メーカーが供給する各種部材の生産・出荷が調整局面を迎え、これまで好調だった市況も軟化する可能性がある。

「会社四季報」(11年新春号、12月13日発売)における化学セクター162社の今11年3月期業績予想は、売上高が前期比11.0%増(秋号は12.4%増)、営業利益は同73.2%増(同66.6%増)と増収幅はやや縮むものの、増益幅は秋号比で一段と広がる見通しだ。
 
 主要な企業に共通するのが上期の好調。自動車や半導体、液晶パネル市場などに向けた各種部材の販売数量の増加や市況高が期初の想定を超過。前10年3月期に続いて設備投資の抑制による減価償却費の減少や各種生産合理化なども寄与する。

ただ、今下期以降は増益ペースも鈍りそうだ。まず各社の期初想定レートを超えるほどに進んだ円高がマイナス要因となる。液晶パネル市場でも今夏以降、一部メーカーが減産調整を進め、半導体市場も減速感が出ている。今通期でみれば大幅な増益のままで着地するとの見方は従来と変わりがないが、下期には減速傾向が少しずつ出てきそうだ。上期に好調だった主要化学品の市況も、下期入り以降は軟化気味にあり、収益の伸びを抑える。

3月期決算の総合化学5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、東ソー)をみると、各社とも今上期は前年同期比で数倍以上の営業増益となったのに対して、今下期の見通しは前下期と比較して増益率は2ケタとなる。大幅な増益ペースを維持しているのには違いないが、すでに上期でピークを打ったといえる。

四季報新春号における化学セクター162社の来12年3月期予想は、売上高が11年3月期比4.2%増(秋号は4%増)、営業利益は8.6%(同8.5%増)と増収増益ペースがさらに鈍ると東洋経済は予想している。新興国の経済成長が続いても、日米欧の先進国市場での停滞から、一辺倒の拡大を見込むのは難しい。化学業界は、曇り空が視界に入ってきた。
(武政 秀明=東洋経済オンライン)

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