ノジマ社長、「買収は全然悩まなかった」 携帯電話販売ITXの成長に絶対の自信

拡大
縮小
 今年、家電量販中堅のノジマは大きな勝負に打って出た。同社は11月、携帯電話販売の大手代理店であるITXの買収を発表。株式の取得金額は513億円、負債分を含む買収総額は850億円にのぼる。ノジマの時価総額約250億円を大きく上回り、過去最大の買収案件だ。
 ITXはドコモやauなどの携帯キャリアショップ508店(2013年末)を運営する携帯販売の代理店だ。12年に日本産業パートナーズがオリンパスから取得し、今回、ノジマが傘下に取り込むことになった。13年度の売上高は2573億円、営業利益72億円と売上高では業界5位。なぜ今、販売店が必要なのか。野島廣司社長にその狙いと今後の展開を聞いた。

 

――なぜこのタイミングでITXの買収に踏み切ったのか。最大850億円を上限とする借入負担も大きい。

 会社を強くし、発展させていく大きなチャンスだと思って買収をした。ITXがオリンパスの傘下にあった時から、当時の菊川剛社長とは話しをしていた。しかし、12年に売却される時はビッド(入札)で負けて、日本産業パートナーズの手に渡った。私の勉強不足だったなと思う。

その日本産業パートナーズやITXの荻原正也社長以下、従業員の方も努力して会社の価値を上げ、以前とは比較にならない利益水準になっている。買収の時期はたまたま今になっただけだ。こうした投資は10年前からずっと考えていた。私が尊敬するヨドバシカメラの藤沢昭和社長(79)が(出店用地として)大阪・梅田の土地を買ったとき、「野島くん、おまえも勝負できるようになれ」と言われた。

 質がよければ量がついてくる

買収金額はほぼ借り入れなので、間違いなく財務は悪化する。自己資本比率は15~20%の間に落ちるだろう(14年9月時点で38.5%)。ただ、内部留保をしているので、配当額が下がることは絶対にない。20年間社長やってきた中でも配当を下げたことはない。10月に業績を上方修正した。これから先もまだできるよう努力していく。

ITXを成長させる自信があったので、買収は全然悩まなかった。自信がなければこんな投資はしない。

――具体的にITXをどう成長させるのか。

当社は、「売上高が3000億円以下の電気屋さんは残れない」と言われながら、成長し続けている。あくまでも(接客などの)質で勝負するという考え方で今まで伸びてきた。質が良ければお客さまに喜ばれて企業として強くなっていく。

ITXには当社の「質」を入れて成長させる。日本の家電メーカーも世界で強かった時は質で勝負していた。だが、質を追わずに量やシェアを追い続けて大変になった。質がよければ後で量がついてくる。

次ページITXをどう変えるのか?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT