インターナショナルスクールの「松・竹・梅」 学費の高い or 安いはどう違うのか

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――安い学校だと先生も辞めることが多いのですか。

先生は値段に関わらず辞めることがあるようです。生徒の転校も当たり前に行われているので、先生も、子どもも学校をぐるぐる循環している感じですね。マレーシアでは教育はビジネスで、日本のように「教育は聖域」という考え方はありません。

――英語ができない日本人におすすめできる学校はありますか。

まず、出来れば日本人が少ない学校を探すことです。日本人はすごくシャイで、話したり、読んだりする訓練が必要ですが、日本人ばかりだとそれがしっかりできません。学校を見学されて受付担当者の印象が強く残る方が多いようなのですが、受付の印象だけで学校を決めることはお勧めしません。

生徒たちの表情をみて

それから学校を見学する際には、先生や生徒たちの表情をよく見てみるといいと思います。実際、私も何度も同じ学校に足を運ぶことがありますが、そのときそのときで学校が違って見えることもあります。

――来た方で不満を持つ方もいるのですか。

はい。せっかく入ってもマレーシアが合わないという人もいます。また、円安で家計が厳しくなって、別の学校を探さざるを得ない人もいますから、見切り発車で来ないほうがいいと思います。

たとえば、マレーシアの汚さやだらしなさといった部分も含めて、楽しめる人なら大丈夫です。わが家も、ある日ゴキブリが50匹も出てビックリしたことがありましたし、ゲストルームのトイレにボウフラが湧いていて驚いたこともあります(笑)。

マレーシアに対して文句を言っている人も見ますが、日本と比べる癖を付けてしまうと、暮らして行くのはきついと思います。なかには日本に帰ってしまう人もいますし、ほかの国に行く人もいます。

――日本に帰ってしまう人もいるのですか。

ただ、日本に帰るのも悪くないと思います。日本は無料で教育が充実していますし、来てみて合わなかったのなら、帰るという選択肢はもちろんあると思います。それにマレーシアでのさまざまな経験は、きっと日本でも大いに役立つと思います。

わが家は、子どもたち2人とも、ものおじしない子になって、来てよかったなと思っています。親が子どもと同じ目線で、新しく見るものや違う文化を楽しめるといいと思います。

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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