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コスト削減・業務効率化だけじゃない
企業を強くするBPO活用法がある

拡大
縮小

コンサルテーション機能まで
持つアウトソーサーも

―― アウトソーシングは3分類できるともおっしゃっていますね。

関口 データ入力などの大量の単純作業を受託する業務支援型、SSC(シェアード・サービス・センター)を含む特定業務を受託する業務処理型、そして業務プロセスの改善と業務全体の再構築による効率化を実現する高度業務処理型の3類型があります。現状では業務支援型と業務処理型が多く、もちろんこの両類型も必要ですが、企業の競争力を高めるにはコストダウンだけでは不十分ですから、今後は高度処理型の活用を進めていくのが望ましいでしょう。欧米では高度業務処理型も増えてきており、給与計算では中小企業の大半がアウトソーシングの定型的なサービスを利用するなどメリハリをつけています。

―― 高度業務処理型の利用価値は、コストダウンだけではないということですか。

関口 このタイプはコンサルテーションまでするのが一つの特長です。特にバックオフィス業務などは業務プロセスを見直して再構築し、効率化を実現して受託する。そういうコンサルティング会社に近い機能を持っています。

―― リスク管理の一形態としてBPOを活用するという考え方もあるそうですね。

関口 東日本大震災のとき、ある損保会社はアウトソーシングを利用していたため、業務をほとんど止めずにスムーズに対応できたと聞いています。社内でやっているのと同じような業務をアウトソーシングにも出しておくと、何かあったときにそちらで代替できます。事業継続計画(BCP)の一環、リスクマネジメントとして、アウトソーシングを活用するのもありだと思います。

―― セキュリティという面でアウトソーシングの活用に懸念を示す企業も多いようですね。特に人事や給与は取り扱うのが個人情報ばかりですから、企業としては神経質にならざるをえません。

関口 情報漏洩はアウトソーサーにとって死活問題ですから、多くの企業がしっかり対応しています。中国・大連でオフショアのアウトソーシングをしている現場を見たことがありますが、PCにデータを保存できないとか、私物を内部に持ち込めないとか、厳しいセキュリティを行っていました。国内でも多くのアウトソーサーが厳重なセキュリティ体制を整えています。

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