「10年後のグリーについて話そう」 創業10年、過去・現在・未来を語る(4)

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田中良和(たなか よしかず)●グリー社長。1977年2月生まれ、日本大学卒業後、ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソネットエンタテインメント)、楽天を経て2004年にグリーを創業した(撮影:風間仁一郎)
グリーは2014年12月7日に設立10年の節目を迎えた。ソーシャルゲームの雄として、2012年6月期には売り上げ1582億円、営業利益827億円という頂点を経験した。
その後、海外拠点の閉鎖、希望退職などを実施し、現在に至っている。大きな山と谷を経験した田中社長に、過去10年を振り返るとともに、今後の展望を聞いた。今回は4回連載の最終回。10年後のグリーの姿を聞いた。

 

山田:新事業をうまく進めていけば、いろいろと広がりがありそうですが、20周年のときは、どういう会社になっていると思いますか。10年もあれば間には、いろいろあると思いますけれども、今から10年後の姿を教えてください。

田中:まずゲームは引き続き大きくなり続けるので、1つの主軸かなと思います、20年後であったとしても変わらないと思います。逆にそれ以外のところで、2本目、3本目の柱をつくっていきたいなというふうに思っています。それはさっき言った、「これネット業界なのかな」というところの新しい分野を開拓して、何かできたらいいなと思います。

山田:ネット化されていないところをネット化していく、という事業は今、多くの会社がやり始めています。そんな中でグリーだからこそ、っていう特徴は何だと思いますか。

世の中に受け入れられることの大切さ

田中:われわれも本当に非常に日々、反省しているんですが、いわゆるネット業界のような気持ちでやってはいけないな、というのを痛感しています。

というのは、最初の話に戻っちゃいますけど、この10年の反省の一つは、ゲーム関係の消費者問題があったと思っているんです。やっぱりあれだけテレビのCMを流しながら大規模にユーザーの方に使っていただいて、しかも大規模な収益を上げていくビジネスとしての自覚が、非常に足りなかったなと思っているんです。もっと世の中にちゃんと受け入れられるようなビジネスに早く変えていければよかったな、という反省を持っています。

ネット化されていないところをネット化していく事業には、それと同じようなものがあるなと思っています。ネットだけで閉じているようなニュースとか、ゲームとか、検索とか、そういったものと、ベビーシッターのようなサービスは、まったく違うものです。もしくはそのことによって生活している人がたくさんいるんだ、ということをしっかり考えないといけない。つまり、ビジネスをやるものには、責任というものがある。そういうことを、この数年を反省する中で感じましたし、今、新しいことをやる中でも感じています。

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