「グリーは、ずっとダメな会社と言われてきた」 創業10年、過去・現在・未来を語る(2)

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山田:そういった課題への対応は、同時進行でやらざるをえなかったのでしょうか。フォーカスすることは難しかったですか。

田中:当時はそうせざるを得なかったし、ちゃんとできる可能性もあったわけです。フォーカスするのも1つの選択肢だったなと思いますが、結果的には全部同時にやろうとして、いろんな無理が生じてしまったなということです。無理を克服できるほどの結果というのは出せなかったなと思うので、結果論的に言えば、やっぱりどれかをセーブして、いくつかのことにフォーカスするべきだったなと思います。

山田:今は、優先順位をつけているわけですね。

田中:そうです。海外はアメリカと韓国以外は基本的に全部、一回撤退して縮小するということを決めましたし、社内においても、いろんなものを整備するということを優先して、社員数や組織としての増大は抑えていくということも決めました。そういう意味では、まずは国内のスマートフォンへの対応が最優先。スマホのブラウザゲーム、ネイティブゲームへの対応というのを、まず1丁目1番地でやるんだということにフォーカスしました。

ミクシィをみてうらやましい?

山田:グリー全盛期に、厳しかったのがある意味、ミクシィですよね。「フィーチャーフォンのソーシャルゲームで稼ぐ」という段階がなかった。でも今、ネイティブアプリのモンストでまた評価が上がっている。そういう意味では一つの領域で成功しなくても、次の領域で成功することもあるわけですよね。今のミクシィを見てうらやましいですか。意識していますか。

田中:いやあ、それはないですよ。笠原さんとは、毎年、新年会をやっているぐらいで、友人です。意識っていう言い方はあんまり正しくないんですけど、単純にこれを、なんでうちの会社的にはできなかったのかなあ、というのは、思いますよ。別にミクシィにかかわらず思うことが多いですよね。それはガンホーさんのパズドラのときも思いましたし。

いい製品があって、それが受け入れられているという現実がそこにあるわけですから、それについてポジティブな意味で悔しいなと思います。なんで、これができなかったんだろうと思いますよね。

山田:今、非常につくり込んだものに力を入れていますよね。ネイティブアプリではロールプレイングゲーム(RPG)のようなものに力を入れています。専用機ゲーム的なものをスマホで実現してヒットをねらうという戦略ですか。

田中:うちの会社は主にRPGっぽいものと、シミュレーションっぽいものをスマートフォンに最適化させる、という作品をつくっています。アメリカでも日本でもそうです。

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