(第30回)就職活動のルールが変わると、学生時代の学び方はどう変わる?(その2)

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 現在のように1年中長期・短期のインターンシップや企業が主催するセミナーが開かれている、という状況は大変望ましい状況ではあるのだが、残念なのは大学3年生や院1年生を対象にしている点だ。
 もちろん、インターンシップという概念が日本に導入され、ようやく定着しつつある段階なので、過渡期として現在の状況は仕方がないものだともいえるが、今後は大学1~2年生向けのインターンシップやオープンセミナーというものが増えていくだろうし、それが企業の採用活動の成果につながるようにもなるだろう。
実際に、大学1~2年の時期にインターンシップを体験することを推奨している大学や、その時期の学生を受け入れている企業も存在する。こういった動きは、すばらしいと思う。大学1~2年の時期にインターンシップを体験した学生は、その後数年を経て採用試験を受けに再度訪れる者も大勢いるという。

 この点に気づいている企業はまだまだ少ない。就職関連のビジネスを手掛けている業者は、中長期的にはインターンシップの対象を大学1~2年生向けに押し下げるよう企業を誘導すべきだろうし、採用に直結するものに関しては、海外でのインターンシップのように長期の休暇の間に絞るべきと考える。

 現在は、採用業者側・企業側・大学側の思惑にズレがあり、本来あるべき姿の就職活動になっていないのは事実だ。リクルートも7つの宣言を出したからには、この方向に社会を誘導してほしい、と切に願う。

 さて、

 選考に直結するインターンシップの開催時期を制限する
 大学1~2年生向けのインターンシップを増やす

 こういった活動を三者が一丸となって推進することで、結果的に学業の重要性は増し、学業に割く時間は増えることだろう。
 実際に今でも早期にインターンシップを経験した学生の多くは就職活動本番の時期に慌てて企業にエントリーしないし、むやみやたらにセミナーへ参加することもない。自分に自信があるし、相談できる大人が身近にいるし、進むべき方向がある程度見えているから、焦らないのだ。
 中には、留学することを決意したり、進学への意思を固める学生もいる。社会を知ることでかえって自分が学ぶべきものに気づく、というわけだ。

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