師走の株高・円安再び、調整は昨年より早い?

日経平均1万7720円、連日の年初来高値更新

 12月3日、円安・株高が一段と進行している。日欧中の金融緩和を背景にリスクオンムードが強くなっており、衆院選終了まで小動きとみていた大方の予想を裏切る勢いだ。株価ボードの前で先月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 3日 ロイター] - 12月に入り円安・株高が一段と進行している。日欧中の金融緩和を背景にリスクオンムードが強くなっており、衆院選終了まで小動きとみていた大方の予想を裏切る勢いだ。

ただ、昨年も同じように年末高を演じたが、年明け後は急落。金融緩和や原油安の裏側にあるのはさえない景気だ。今年は強気相場のスタートが10月半ばと昨年より半月早かったことから、調整に入るのも半月早そうだとの見方も出ている。

3日連続の高値更新

日経平均<.N225>は12月入り後の3日間、連続で年初来高値を更新している。約7年4カ月ぶりの高値水準に上昇しており、3日の市場では一時、1万7881円を付け、1万8000円大台を視界にとらえてきた。「それほど大規模ではないが、海外勢の買い越し基調が続いている」(大手証券トレーダー)という。

10月17日安値の1万4529円を底として上昇基調に転じた日経平均は、日銀の追加緩和もあってほぼ1本調子で上昇。3日終値までに約3200円の上昇となっているが、12月に入っても、その勢いは衰えず、むしろ強まっている。

「急ピッチの上昇相場で、日本株を買えていない投資家が連日の株価上昇で我慢しきれずに参戦しているようだ。押し目待ちに押し目なしとされるように、少しでも下げれば買う動きが続いているため、株価が下がらない」とケイ・アセット代表の平野憲一氏はみる。

一方、ドル/円<JPY=>も10月15日の105.19円を底値にほぼ一本調子の上昇基調に入っている。3日の市場では119.44円まで上昇し、7年4カ月ぶりの高値を更新しており、こちらも12月に入って勢いづいている。

約1カ月半で約14円という急ピッチの円安進行であり、市場では過熱感への警戒も出ているが「株高に原油安とドル高・円安材料には事欠かない。さらに足元では米金利が少し上昇してきた。120円を付けるまでは達成感が出ないだろう」(国内証券ストラテジスト)と強気な声は多い。

昨年も同様な展開

「師走の株高・円安」は昨年もみられた。日経平均は2013年11月8日安値の1万4026円を底に、12月30日大納会に、その年の高値となる1万6320円をつけるまで約2300円上昇。ドル/円は10月25日の96.94円から年末の105.36円まで円安が8円強進んだ。

しかし、年が明けると、米国の早期利上げ観測などへの警戒感が強まり、それまでのリスクオンポジションの巻き戻しが加速。日経平均は2月4日の1万4008円まで急落し、前年末の上昇分をすべて吐き出してしまった。ドル/円も2月3日の100.77円まで急速に値を崩した。

今年は株高・円安相場がスタートしたのが10月半ば。昨年の11月前後から比べると半月早い。このため市場では「日本の衆院選が終われば、材料出尽くしで、調整に入るのではないか。半月早く始まった強気相場だけに、終わるのも半月早そうだ」(みずほ証券・エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)との警戒感も出ている。

不吉なサイン

不吉なサインもある。円とドルという単位を抜きにして、単純に数字上で比較した場合、日経平均が米ダウ<.DJI>を抜かしたのだ。数字でみた場合、2日終値のダウは17879。一方、日経平均は3日午前に一時17881を付けた。ドルを円に換算すれば100倍以上の差があるのだが、数字上の単純な比較では一瞬「追い越した」ことになる。

日経平均がダウを前回追い越したのは昨年5月20日。その3日後、日経平均は1400円も急落した。バーナンキ前FRB議長の量的緩和終了を示唆する発言がきっかけであり、米ダウもその後、半月で1200ドル下落したのだから、日本株の「キャッチアップ」を嫌気したわけではないだろうが、アノマリーを気にする市場関係者もいる。

選挙前の慎重ムードがありながら、連日の年初来高値更新という上昇モメンタムの強さに戸惑う市場関係者も少なくない。景気の不透明感も強く「消費や設備投資は数字以上に堅調だ。原油安の効果もあって10─12月期以降、来年も日本経済は上向いてくる」(三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト、宅森昭吉氏)との強気は、まだ市場で広がっているとはいえない。

市場参加者の多くは「まだはもう。もうはまだなり」という相場格言を横目に、上昇相場を眺める展開となりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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