日本のトイレは排泄するだけの場所じゃない! 35秒で丸見え!? スリルと感動のトイレ名所

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 日本のトイレはもはや排泄するだけの場所ではない。日本人の「清潔好き」と「技術力の高さ」が相互にトイレ環境を磨き上げ、独自の発展を遂げ、かつてない高みに到達している。この特集では、日本のトイレ文化が世界にもたらす未来について、5日連続で紹介していく。1日目は、全国各地のトイレにまたがってきた“トイレハンター”に、日本のトイレの魅力を伺う。 
日本庭園の中に和式トイレ!?

──日本全国のトイレを取材している“トイレハンター”のマリトモさんは、これまで何カ所のトイレをご覧になりましたか。

マリトモ●フリーランスライター。大阪府生まれ。映像製作プロダクションのアシスタントディレクターとして従事した後、ウェブサイトの企画・ディレクションやマーケティング、デザイン業務のほか、ライター、カメラマンとしても活動して15年。そのかたわら、トイレ空間に興味を抱き続け、10年の歳月をかけて日本全国のさまざまなトイレを取材。現在は“トイレハンター” “トイレ評論家” として活躍中。 著書に『ニッポンのトイレほか』がある。

マリトモ:10年間で300カ所は超えています。きちんとアポイントが取れて取材できたのは100件弱ですが、トイレの取材って3件に1件は断られてしまうんです。「なんでうちの店の『カレー』じゃなくて、『トイレ』なんですか」と。逆に、なぜトイレに対してマイナスイメージを持っているんだろうと悔しくなります。

──本当になぜトイレなんですか。何にそれほど魅了されているのか教えてください。

マリトモ:トイレという場所は、老若男女が1日に何度も利用します。そして、このせわしない世の中で唯一、ひとりきりになれる空間です。誰かと一緒にお風呂に入る人はいても、トイレに入る人は幼児でないかぎりいない。いわば究極のプライベート空間。そういった意味で、トイレは希少価値が高いと思います。

日本のトイレは外国人が感銘を受ける場所でもあります。もともとはアメリカが最初に医療・福祉用に温水洗浄便座を開発したのですが、日本で独自の進化を遂げて日本独特のものに変えてしまった。そこが日本のすごいところです。

──マドンナが来日した時、「日本の温かい便座が恋しかったわ」と言ったのは有名ですね。レオナルド・ディカプリオがTOTOの最新型トイレを買ったとかいう話もあります。

マリトモ:海外セレブの方や著名人が日本のトイレを賞賛する背景には、まず日本人特有の「おもてなしの心」があると思います。さらに日本のトイレは世界に誇れる最新技術の結晶です。清潔さも快適さも世界一でしょう。用を足すだけの空間ではなく、一息つける、気持ちを切り替えられる、そんな役割も今のトイレは果たしているんですよ。

脱臭機能が優れているからニオイもしません。カルミックさんも頑張ってニオイを消してくれる。

──カルミックさん?

マリトモ:公共スペースのトイレによくある、斜めのマークがついたサニタイザーの会社です。その横にあるTOTOさんの「音姫」は排泄音を消してくれる。目の前にはコンビさんが赤ちゃんを座らせるシートをつけている。トイレの中でいろいろな企業がコラボレーションしまくっているんです。

こういう日本のトイレを通して、外国人の方が日本に来てよかったなあ、日本はすごいなあと思うわけです。

──日本の叡智をトイレで実感するのですね。

「便所メシ」は快適な個室のおかげである

マリトモ:日本人だって、たとえば最近、問題になっている「便所メシ」(ひとりで食事しているところを他人に見られたくなくて、トイレの個室で食べる行為)は、こうした企業のおかげでできるんだと思います。汚くてクサいトイレばかりだったら、食事はできないでしょう。

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