博報堂の異色キャラはこうして生まれた 原田曜平×瀧本哲史 対談(前編)

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原田:それが2006年頃で、その頃から日本の企業も中国を市場として完全に注目し始めたんです。当時は中国の若者に関する情報はまだ少なかったので、僕らのリサーチ情報はたいへん貴重がって頂けて、ある企業に中国向け商品を開発するチームに入って欲しいと頂き、1年半、その企業に出向することになりました。

1年半後、戻って来ると、若者研究をしながらコンサルティングする組織を立ち上げなさいということになり、「博報堂若者生活研究室(現・博報堂ブランドデザイン若者研究所)」というチームを立ち上げることになりました。

それまでの自分は、完全なる民間研究者だったので、おカネ稼ぎなんてしたことがない。しかし、研究所は研究をしながらおカネ稼ぎをしないといけない。正直、不安ばかりでした。が、ふたを開けてみると、若者の人口が減り、若者が消費離れしているせいか、ありとあらゆる業界からお仕事のご依頼が殺到して、ほんとうにたまげたし、たいへん使命感を感じたのを覚えています。

ビジョンもプランもない

原田:だから、就職時から今日までつねに、行きたくないほう、行きたくないほうに無理やり行かされてきて、最初は反抗するけれど、しぶしぶ従ったら意外に居心地がよくなる、ということの繰り返し。だから何も誇れることはないんですよ。ビジョンもキャリアプランもない。

瀧本:なかなか波瀾万丈ですね(笑)。入社2年目で総研に行くことになって、それでもやさぐれたままにならなかったのはなぜなのか。次回はそのあたりから、お聞きしたいと思います。

(構成:長山洋子、撮影:風間仁一郎)

※後編は12月8日掲載予定です。

瀧本 哲史 エンジェル投資家

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たきもと てつふみ

京都大学客員准教授、エンジェル投資家。東京大学法学部を卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼーに入社。3年で独立し、日本交通の経営再建などを手がける。その後、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学では「交渉論」「意思決定論」「起業論」の授業を担当し人気講義に。「ディベート甲子園」を主催する全国教室ディベート連盟事務局。著著に『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』がある。

【2019年8月16日18時00分編集部追記】2019年8月10日、瀧本哲史さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

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