中国市場での成功に不可欠なデジタルマーケティング、その可能性と落とし穴[2/2]--失敗と成功に学ぶ

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 次に、中国現地の広告代理店と連携し、中国メディアを理解したうえで広告戦略を遂行している点である。日本の広告代理店に任せきりではなく、ローカルの代理店を適切に活用しているのである。

そして最後に、中国福利会出版社をパートナーに迎え、中間管理職はすべて中国人を採用している点もポイントだ。中国人消費者に響くプロモーションを展開するには、ローカライズは最重要条件であることがわかる。

もう一つの成功事例がDHCだ。同社は日本では低価格帯で商品展開しているが、中国では中高価格帯商品として展開している。中国への参入時期が05年と後発ながらも、短期間で中国市場でのプレゼンスを確立し、2006年度から前年比で平均150%以上の成長を続けている。

DHCの成功要因は、中国人消費者の特性を踏まえたプロモーション活動にある。まず、同社は中国でサンプルマーケティングを積極的に行った。ユーザーに4本入りのサンプルを提供し、試用後評価や感想を他のユーザーとシェアしてもらい、商品について納得したうえで最終的に商品を購入してもらうというプロセスを踏んだのである。

また、インターネットを活用した口コミマーケティングを積極的に行った点もプラスにつながった。コミュニティへの帰属意識が強く、模倣品や粗悪品に対して敏感な中国人に、クチコミマーケティングはフィットした。

そして、マルチチャネルでのマーケティング展開である。サンプル提供を通じて会員データを取得するのみならず、さまざまな広告サイトへの広告/PRを積極的に行い話題を喚起。直営店舗をオープンさせ、有名な芸能人を活用したPRの実施。DHCは、数多くのチャネルを活用することで、顧客とのコンタクトポイントを多く用意したうえで、施策を連携させていった。

ベネッセと共通しているが、パートナーとして中国人のインサイトに精通している中国国内企業を採用しているのもポイントだろう。


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