青木功、「良きライバル探しも腕のうち」

文化功労者に樋口久子が選ばれて思うこと

「チャコ」──女子プロゴルファー樋口久子のことを、これまでそう呼んでいたけど、これからそう呼べなくなっちゃうかな。

2014年度の文化功労者に親友の樋口久子が選ばれ自分のことのように喜んでいます。

チャコはね、これからもそう呼ばせてもらうけど、歳は三つ下でゴルフ一筋、プロゴルファーによってはゴルフの空いた時間に趣味を楽しむなんて人がいますが、空いた時間にもゴルフをするのがチャコ。実は自分もそうだけど、同じタイプの心通じ合う仲間でもあり良きライバルなんです。

でも、正直言って世界に目を向けたのはチャコのほうが、一歩先を歩いていたかな。外国での優勝も、1974年には豪州オープン、ゴルファーだったら誰でも欲しいメジャータイトル、ご存じ全米女子プロ選手権は77年の優勝。その翌年ですよ、78年英国の世界マッチプレー選手権で自分が勝ったのは。

その後も「世界ゴルフ殿堂」入り、「紫綬褒章」も一足先に受章と、まあ、後を追って歩かせていただいてますよ。

チャコの良いところは「ゴルフ以外に欲がない」こと。自分もそうだけど、生き方が不器用なんですよ。だから、ゴルフがうまくなるには練習しかない、そう思えるんです。チョット利口な方は、少ない練習時間でうまくなる方法を考えるけど、「私、不器用」を自覚しているから「うまくなるには練習以外ない」って、それを実行してきたんです。外国遠征から日本に帰ったその日に、練習場に行ったなんてのは珍しいことじゃありませんでしたからね。

実際、海外から帰ったその翌週の試合、国内でも優勝、もしくは優勝争いをした翌週の試合、これが選手にとって、ものすごく大切な試合なんです。それは世間で、最も注目を受けているときですからね。はやり言葉じゃないですが「名を売り、腕を磨くのは、今でしょ」なんですよ。

しかし、海外である程度の成績を残して帰ってくると、友人知人はお祭りムード。国内の試合で優勝しても同じこと。花は届くし、今の時代だとメールも届く。これは日頃応援してくれる人達がやってくれることで、たいへんありがたいことだけど、早く忘れる努力が一流と二流の分かれ道。

浮いた気持ちで、次の試合に臨んでもいい結果が出るはずがありません。昨今の男女とも日本ツアーを見てみると、外国人選手は優勝の翌週の試合も上位にいるけど、日本人選手はノンビリかどうかは知りませんが、下位で低迷する選手が残念ながら結構多いのです。自分がある程度の成績を残せたのは、良きライバルに恵まれたからです。チャコは負けず嫌い同士の良きライバルでした。試合場にはジャンボ尾崎もいましたからね。

日本のプロゴルファーたちは、負けるのが悔しくなる良きライバルを探したらいいと思う。

週刊東洋経済 11月29日号より

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