写真配信のゲッティ、「破壊と創造」の舞台裏 右クリックで保存可能な時代の収益化とは?

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ダブリンの「ウェブ・サミット」でゲッティ・イメージズの変化を語る同社CEOジョナサン・クライン氏(左・Web Summit提供)
スマートフォン片手に、誰もが簡単に写真を撮り、家族や友人たちとシェアする時代となった。ネット上には膨大な量の写真や動画が日々、アップロードされている。
高品質の静止画、動画、音楽などを世界中に配信する米ゲッティ・イメージズは「誰もが写真家」、「無料」、「シェア文化」を特徴とするネット時代にどう対応しているのだろうか。11月上旬、アイルランド・ダブリンで開催された「ウェブ・サミット」に参加した、ゲッティ社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジョナサン・クライン氏に聞いてみた。

創業に至った経緯

――なぜ写真素材のストック業を始めたのか?

時代に即したビジネスを創業したいと思っていた。1990年代半ば、テクノロジーの発展が写真業を大きく変えるのではないかと思った。当時は画像のストック企業で巨大な会社がなかったので競争はそれほどは激しくないだろうと考えた。また、写真は国境を越える性質を持つため、配信業は国際的なビジネスになる点も気に入った。

具体的には小さな写真会社を次々と買収し、一つにまとめていった。幅広い素材が入手できるようなワン・ストップ・ショップを作ろうと思った。

――1995年の創業当時はアナログ・ビジネス?

完全なアナログの会社だった。プリント向けの写真を販売し、大きなファイリング・キャビネットを並べていた。ウェブサイトもなかった。

現在までにビジネスは大きく変わった。デジタル化が進んだため、写真の使用権を売るというビジネスそのものが変わった。写真をどうやって撮影し、修正し、配信するか、写真の使い方も変わった。昔はプリント向けだったが、今はマルチプラットフォーム用だ。

写真や動画はかつては人と人のコミュニケーションの周辺部に存在していたが、いまや、世界で最も頻繁に使われている「言語」となった。

――いつビジネスを変えようと思ったのか。

初日からだ。私たちは、19世紀に発明された「写真」という技術を基にした業界だ。テクノロジーの発展で、ビジネスモデルが破壊され、大きく変わってゆくだろうと認識していた。

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