投資家に惑わされない組織の作り方とは? <動画>産後ケアのNPO法人マドレボニータ

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吉岡マコ(よしおか・まこ)●東京大学文学部美学芸術学科卒、同大学院生命環境科学科中退。身体芸術や心と体のつながりに興味を持ち、修士課程では運動生理学を学ぶ。マドレボニータの教室は、北は北海道、南は沖縄までさまざまなところで受けられる

マドレボニータは、前編でもお伝えしたように、女性の産後ケアの重要性を啓発するとともに、産前・産後のボディケア&フィットネスプログラムを提供しているNPO法人。

現在も代表を務める吉岡マコ氏がそもそもの発起人であり、マドレボニータをここまでの組織にした人物だ。東大→東大院と進んだ頭脳の聡明さもさることながら、人を巻き込むのが実にうまい。

「マドレボニータの卒業生に、こちらから『力を貸してください』という感じで信頼して問題提起をすると、進んでアイデアを出していただいたり、実際に『やりましょうか』と手を挙げていただいたりする。(参加者は)お客様じゃなくて、仲間のような存在です」

ユーザーと運営側の垣根を極力取り払い、イコールの関係を築くことでコミュニティが育っていくという。今年6月には、優れたソーシャルビジネスへの取り組みを表彰する「日経ソーシャルイニシアチブアワード」の国内部門賞にも輝いている

スピードや規模を求めるのは、結局投資家

成功を収めた起業家や著名な投資家が、若い起業家たちに向けてアドバイスする時によくこんなことを言う。「自分の事業に100%コミットすること」。遊ぶ時間、寝る時間、食う時間を惜しんで全身全霊で仕事と向き合うべきだという助言だ。

発言者が実際通ってきた道だろうし、的を射ているのだろう。その事業が経済を活性化し、世の中にいい循環をもたらせばそれは社会貢献にもなる。

一方、吉岡氏はこう語る。

「スタートアップはスピードや規模を求められることがあるが、それは結局、投資家の意見であることが多い」

吉岡氏が望むのは、現在全国にいるスタッフや活動に賛同してくれた会員たちを軸に「マドレボニータ」というムーブメントを育て、日本に「妊娠→出産→産後」という途切れない周産期のヘルスケアのシステムを築くこと。そのことに集中して、吉岡氏は日々の活動に勤しんでいる。しかし、彼女は一児の母でもある。マドレボニータに24時間を割けるわけではないのだ。

起業とひと口に言っても、マドレボニータのようなNPO法人や、所属する会社からの新規事業など、様々なケースがあり、様々なコミットの仕方がある。実際、法人化の際にNPOを選んだ吉岡氏は「自分の軸」を持つ有用性を語るのだった。どういうことなのだろうか。

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