弥生、オリックスと組み「金融サービス」へ 岡本社長に中長期的な戦略を聞く

拡大
縮小
「小規模事業所にニーズにあった新しい金融サービスを提供していきたい」
 会計ソフト「弥生会計」や確定申告ソフト「やよいの青色申告」をはじめとする業務ソフト「弥生シリーズ」を開発、販売する弥生株式会社は、11月13日、同社株式の99.9%を、年内をメドに、オリックス株式会社が取得し、オリックスグループ入りすると発表した。はたして、弥生のメリットはなにか、オリックスの狙いはなにか。そして、中小企業を中心とする125万社に上る弥生の登録ユーザーにとって、どんな効果がもたらされるのか。弥生の岡本浩一郎社長に買収の意味、今後の弥生について語ってもらった。今回はその後編。

 前編はこちら→ 弥生はなぜ、オリックス傘下に入るのか。

 

――弥生とオリックスとの連携イメージはどのように考えていますか。

オリックスが持っている最大の強みはやはり金融です。そこと弥生の顧客のニーズをうまく組み合わせていけないか、と考えています。

たとえば、アマゾンはマーケットプレイスの出店者向けに貸し付けを始めました。これは、出店者の受注状況などをすべて把握し、貸し倒れリスクを判定できるからこそ実現しているわけです。弥生も、見積書とか受注といった業務をお手伝いしていますから、顧客の事業活動の内容がわかる。そして、顧客の資金ニーズが高い時期も見えている。そこにわれわれが新たな金融サービスを提供することができると考えています。

資金ニーズがないところに対して売り込むといったように、われわれが貸したいから貸すのではなく、顧客が必要とする時に提案できる新たなメニューを用意するのがわれわれのやり方になる。ここにオリックスとの連携メリットがあるわけです。

顧客に大きなメリット

中小企業は、資金繰りが厳しくなったという場合には、銀行巡りをしなくてはいけないというのがこれまでのパターンでしたが、そこに弥生から、カスタマーセンターを通じたり、ソフトウエアを利用しているなかで、「どうですか」と、金融サービスの提案が行われることは、顧客にとって大きなメリットが生まれることになります。そして、弥生の顧客に対しては、利率を低くして提供するといったことや、独自に貸し倒れリスクを考慮した上での貸し付けも可能になる。

ものすごく具体的な話をしましょう。個人事業主は、青色申告した場合の方が、65万円の特別控除があるなど、税制上のメリットがありますが、金融機関におけるローンの審査の際には、この65万円の所得がなかったとみなされる場合が多く、結果として、審査が通らないという例も発生しています。このように、今ある仕組みは、個人事業者の実態にそぐわないものが多いと私は考えています。個人事業主であることを前提に、営業実績があるということがわかれば、それを考慮した個人事業主の実態にあわせた新たなサービスを提供するといったことも可能になります。

次ページほかの連携事業は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT