自民、「勝つ候補選び」へギリギリの調整 素行の悪い新人議員を"排除"

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静岡でも、野党が勝つための候補者調整を行った。3区(浜松市天竜区、磐田市など)の鈴木望氏は21日に維新の党から公認されたものの、その直後に辞退し比例単独に転じている。民主党から出馬する小山展弘氏と調整したためだ。

静岡3区では前回の衆院選で鈴木氏が獲得した票数は6万3931票で民主党の小山展弘氏は6万2259票。これを合わせると、自民党の宮沢博行氏の9万4477票を上回る。39歳の宮沢氏に対抗するため、66歳の鈴木氏が38歳の小山氏に譲った形になった。

そこで思い出すのは、衆院解散直後、本会議場から出ていく鈴木氏を細野豪志氏(静岡5区)が呼び止め、2人で歩きながら何やら話していたことだ。この時に細野氏が鈴木氏を説得したのだろうか。

世論調査は自民党圧勝だが・・・

共同通信が11月19日と20日に実施した衆院選第1回トレンド調査によると、小選挙区で自民党に投票すると答えたのは26.4%で、民主党が9.4%。比例区については自民党が25.3%で、民主党が9.4%だった。この数字だけ見れば自民党が圧勝するように見える。

しかし、自民党には逆風がある。12月8日には7~9月期の実質GDPの確定値が発表される。安倍晋三首相が11月に解散に踏み切ったのは同速報値が前期に続きマイナスを記録したためで、さらに実質値が悪化するとの情報を得たからと言われている。これは与党に不利に働くだろう。

そうした影響を小さくするため、自民党はギリギリまで候補者調整を進める。それに野党はどう挑むのか。2日の公示まで目が離せない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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