東武東上線「和光市からふじみ野」に何があるのか 複々線でにぎわう駅、昔ながらの団地・商店街も

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いまやこの3駅における中心はふじみ野駅になってしまったが、歴史的にみると一番新しいのがふじみ野駅で1993年の開業。みずほ台駅が1977年で、鶴瀬駅はそれよりずっと古い1914年の開業だ。つまり、現在の富士見市内においては約60年間にわたって鶴瀬駅がすべてを引き受けていたということになる。

整備中の鶴瀬駅前ロータリーにはららぽーとへのバスが発着(撮影:鼠入昌史)

「なので、ちょっと前までは昔ながらの私鉄の駅といった感じで、小さい商店街が駅前まで続いていたんです。いまはちょうどロータリーをきれいにして再開発をしている最中ですね。ららぽーと富士見が近くにあるので、最近はその関係で利用も増えています。東口からららぽーとまで10分に1本ペースでバスが出ているんですよ」(山崎さん)

確かにまさしく絶賛整備中といった感じの鶴瀬駅前は、広々としたロータリーにららぽーと行きのバスがやってくる。少し離れたところには昭和の昔からの商店街の名残もちらり。懐かしい私鉄沿線の駅と新しい私鉄のターミナルがいままさに混在しているというのが、鶴瀬駅である。

駅の住所がややこしい

その鶴瀬駅にとても多くのお客が押し寄せた日があった。2017年4月8・9日。ももいろクローバーZのライブイベント「ももクロ春の一大事2017 in 富士見市」である。

これは当時のメンバーだった有安杏果さんが富士見市出身だったことから実現したもので、鶴瀬駅から歩いて45分くらい離れた富士見市の運動場が会場になった。

「ももクロのファンの方にたくさん来ていただきました。雨の日で大変だったのですが、礼儀正しいファンの方が多くてよかったですね。このライブにあわせてふじみ野駅を『ももいろクローバーZ駅』に変更したり、1日駅長もしてもらってなかなか盛り上がりました」(山崎さん)

富士見市は今年で市制施行50周年。そのため、ももクロフィーバーほどではないかもしれないが記念イベントで盛り上げようとしているという。ただ、その舞台になるのはやはり鶴瀬駅ではなくふじみ野駅だとか。いまの富士見市の中心は、ふじみ野駅に移っているようだ。

「ただこれがちょっと複雑なんですよね。ふじみ野駅は富士見市ふじみ野東にあるのですが、隣にふじみ野市という市もありまして。市町村合併の関係でこうなったのですが、ふじみ野市という市があるのにふじみ野駅はふじみ野市ではなくて富士見市、と。少しややこしくて」(山崎さん)

なるほど、聞けばたしかにややこしい。ふじみ野市役所がある駅は上福岡駅だというから、市役所に用がある人はふじみ野駅で降りてはいけないというわけだ。が、まあこういった例は意外にたくさんあるもので、志木駅にしたって所在地は志木市ではなく新座市だ。あまり難しいことは考えないのが、鉄道の旅にはいいのかもしれない。

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