過熱する葬儀ビジネス、商機到来、絶えぬ参入

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日本にある葬儀社は6000~7000社とされるが、実態はわかっていない。葬儀は地域密着型であるうえ、参入障壁は非常に低い。業界最大手の燦(さん)ホールディングスでさえ全国シェアは1%にも満たない。逆にいえば、ほとんどが零細・中小企業で成り立っている特殊な業界であり、大手にとってビジネスチャンスは少なくない。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、高齢化の進展で死亡人口は年々増え続けていき、2055年にピークを迎える。単価下落以上に死亡者数が増え、葬儀市場規模は少なくともあと30年は拡大が続くとされ、数少ない有望市場なのだ。

これにあぐらをかいてきた葬儀業界。「儀礼式典の名の下に、お仕着せ、押し売りが横行する場面が多すぎる」との苦情は後を絶たない。葬家が望むのであれば問題ないが、故人を送るのに使い回しの白木の祭壇を喜んで使う親族は多くない。

通夜振る舞いや精進落としの料理も、出来合いの乾いたすし、冷めたてんぷらが並べられるだけなど、割高なのに、選択肢がなかったことも確かだ。だが、今後は消費者ニーズがますます多様化することは必至であり、サービスと料金それぞれで二極化が鮮明化していくだろう。いずれ再編淘汰の波が押し寄せてくることは否めない。

(筑紫祐二 =週刊東洋経済2010年11月20日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


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