りそな巨額公募の成算、公的資金完済に奥の手
ただこうした説明がどれだけ受け入れられたか疑問だ。
11月5日は増資報道が出たことで、りそな株は値幅制限いっぱい下げ、終値は512円。その後会見で潜在株減少や増配の方針を示したが、週明けも一段と値を下げた。株価がこれだけ動くと、優先株・普通株で見た希薄化の比較がままならない。発行時期が未定なため、調達が6000億円に達するかも不確定だ。「『資本構成をわかりやすくしてほしい』という投資家の期待」(細谷会長)に応えたはずが、ここまで厳しい売りを浴びるのは経営陣にとっても本意でないはず。
JPモルガン証券の笹島勝人アナリストは今回の発行を「複雑なパズル」と評する。「りそなは6000億円集めたい。投資家は安く新株を買いたい。一方で既存株主にとって株価下落は困る」(同)。資本構成を入れ替える異例の巨額公募に、市場はいまだ評価を決めかねている。
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(井下健悟 =週刊東洋経済2010年11月20日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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