『ノルウェイの森』--資源国通貨の行方《宿輪純一のシネマ経済学》

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原作は言わずと知れた村上春樹のベストセラー。1987年に発刊し増刷を続け、なんと1000万部を突破して、国内小説発行部数で第1位となっている(筆者もあやかりたいものである)。筆者も新入社員の頃であったが、当然読んだ。赤と緑の表紙がきれいであったのを印象的に覚えている。彼は今やノーベル文学賞の有力候補と見なされている。
 
 ちなみにビートルズの曲を材料に使っているが、ビートルズの名曲は『ノルウェーの森』で微妙に日本語表記が違う。小説の最初は、ドイツのハンブルク空港に着陸するときからスタートし、機内で『ノルウェーの森』が流れる。そして、20歳ぐらいの出来事を思い出すという回顧ものである。
 
 なんでハンブルク? と思った。ノルウェーだったら、オスロ空港だろう、と思ったが、ビートルズのデビュー地がハンブルクであったのと関連があるんだろうと、勝手に思っている。


 
 主人公の“僕”ことワタナベ(松山ケンイチ)は、親友であるキズキが自殺し、友人のいない東京の大学(村上の母校の早稲田大学と思われる)に通う。その後、キズキの元彼女だった直子(菊地凛子)と再会する。若い2人は直子の部屋で関係を持つ。その後、直子は心を病み、京都の精神病院に入院する。
 
 そして、“僕”は大学で出会った緑(水原希子)とも付き合い始める……。セックスの描写が結構多く、そのせいか、映倫「PG12指定(小学生には助言・指導が必要)」となっている。87年のバブル終期という世情もよく描かれている。

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