(産業天気図・銀行業)景気底入れを受け当面は収益回復が続くが、4メガバンクではUFJが正念場か

2003年度の大手銀行は、ほぼ計画通り黒字化や復配が達成できそう。りそなホールディングスを除いて与信費用が減少したことに加え、株式相場の好調で有価証券の含み損が解消した。2004年度も、足元の円高が不安要因ではあるものの、日本経済の景気回復が続く限りは、本業の業務純益ベースでの収益拡大ペースを持続しそうだ。
 ただ、2003年度は特殊要因的な収益底上げ要素もある。例えば、金利低下局面での債券売却益、不良債権処理の加速に伴う一般貸倒引当金の戻し入れ益、厚生年金基金の代行返上特益、そして東京都からの銀行税の還付益などである。だから2004年度の経常利益、当期利益ベースでは横ばいや減益となる大手行もありそうだ。
 公的資金注入行の収益予想は、彼らが金融庁に提出した「経営健全化計画」がベースとなる。これらを見比べると、財務の健全性が高いところほど無難な予想で、繰延税金資産が多く、公的資金完済のメドが立ちにくいところほど右肩上がりの過大な計画になっている。
 4メガバンクの2004年度予想(会社四季報ベース)を見ると、三菱東京フィナンシャルグループは「貸し興し」で融資拡大を図るが、リテール強化の営業人員増強で経費は高止まりを予想。前期の一般貸引戻り入れ益を見込まないうえ、銀行税還付や代行返上特益も消えるので純益減になる。
 みずほフィナンシャルグループも純益減少を見込む。健全化計画では2004年度まで金利底ばい前提のため、債券売買益は縮小。7月からのみずほ銀行のシステム統合負担は大きくないが、与信費用は若干増加想定と慎重だ。
 三井住友フィナンシャルグループは、すでに2003年度から市場性収益の減少で業務純益は減少が不可避。2004年度も業純は弱含み。ただ不良債権比率の減少から与信費用も引き続き減少し、経常増益となる。銀行税還付金や代行返上特益が消えるが純益でも強含みを維持できそうだ。
 UFJホールディングスも与信関連費用の続落により経常増益を見込めそう。ただし、健全化計画の傘下2行合算(分離子会社を含む)の経常利益5124億円は、10年国債金利が2003年度1.20%から2.00%にハネ上がる前提で、かなり楽観的と言わざるをえない。収益見積もりが過大と監査法人に判断されれば、繰延税金資産が取り崩される恐れもある。2003年度の金融庁検査を乗り切っても、UFJの正念場は終わらない。
【山川清弘記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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