ロシアのデフォルトは金融システムを揺るがすか 各国のロシアとの貿易、ロシア向け与信を分析

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具体的に数字を見てみよう。国際決済銀行(BIS)のデータによれば、2021年9月末時点でロシア向けの対外与信残高は世界全体で1047億ドル存在する。これは世界全体の対外与信残高の0.3%でしかない。相手国から見ても、最も大きい部類に入るフランスでもロシア向け与信残高は240億ドル程度であり、同国の対外与信残高全体の0.5%にとどまる。対外与信残高に占める割合が最も大きなオーストリアでも3.6%である。ロシアの対外債務がデフォルト必至だとしても、この程度の規模で国際金融システムが瓦解するような話にはなりえない。

クリミア侵攻後、ロシア離れは進んできた

そもそも2014年のクリミア危機以降、西側陣営は貿易面のみならず、金融面でもロシアから距離を取るようになっていた。ロシアとの貿易関係がわかりやすい。

ロシアの貿易総額に占める各国・地域の比率をクリミア危機直前の2013年と2020年で比較してみると、EU(欧州連合)は48.3%から35.6%へ12.7%ポイントも低下している。うちドイツが11.5%から8.7%ポイントへ2.8%ポイント減らしている。アメリカは4.4%から3.9%へ0.5%ポイント低下、日本が4.0%から3.0%へ1.0%ポイントの低下と軒並みシェアを落としている。

一方、中国は10.3%から19.3%へ9%ポイントも上昇している。そのほかベラルーシが4.6%から5.3%へ0.7%ポイント上昇、トルコが3.9%から4.0%へプラス0.1%ポイント、インドが0.7%から1.5%へプラス0.8%ポイントと伸ばしており、西側陣営からシェアが移動していることがわかる。

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