増税先送りで「アベノミクス第2幕」が始まる 2005年の小泉郵政解散と似てきた?

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安倍首相は当初早期解散の可能性を否定したが、メディアは一斉に年内の解散総選挙に動き出す自民党や公明党の政治家の発言を伝えた。マーケットも早期解散の期待が現実味を帯びたと認識し、日経平均株価は一段と上昇、ドル高円安が進んだ。

安倍首相もここに至っては早期解散をもはや否定せず、このまま年内総選挙になだれこむようだ。なお、見過ごされがちだが、「増税先送りで長期金利が急上昇して混乱する」という「俗説」は、やはり評論家だけが語る物語に過ぎなかったことが確認されつつある。

これまでこの連載で何度も述べているが、アベノミクスが目指すデフレ脱却と経済正常化にとって、前政権の負の遺産である消費増税はそれと逆行する政策であった。

安倍首相は、霞が関や一部マスコミを押さえ込めるか

そして、4月に増税に踏み出すという判断ミスによって、2014年に日本経済は停滞し、世界の中で、日本株のパフォーマンスは10月までもっとも冴えなかった。性急な増税によって、経済正常化が滞り、アベノミクスがつまずいたわけだ。

それでも10月末の日本銀行による、見事な追加金融緩和によって、円安が進み、何とか消費増税のショックが吸収される状況にある。だが、日本経済は停滞したままである。日本株の年初来のパフォーマンスも、欧州、新興国と同レベルまでにようやく並んだところである。

経済学の教えに即してロジカルに考えれば、2015年10月の消費再増税について先送り・凍結が妥当な判断だし、安倍首相をはじめ官邸は、それを十分理解していたと思われる。ただ、現実の政治状況を踏まえれば「先送り・凍結」の判断は難しいと筆者は考え、消費増税先送りの生起確率はせいぜい30%のサブシナリオと考えていた。

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