《プロに聞く!人事労務Q&A》経営悪化でパート労働者の労働時間を短縮したいのですが、給与の補てんは必要ですか?

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また、会社と労働者は、賃金や労働時間といった労働条件について労働契約によって結ばれています。労働時間やそれに対応した賃金は、労働契約上の重要な労働条件です。したがって、経営上の都合によって、それを一方的に引き下げることは「労働条件の不利益変更」となり、原則としてできません。

したがって、削減した労働時間相当部分の賃金をカットすることは、「ノーワーク・ノーペイの原則」ともとらえがちですが、その削減された労働時間については、会社の都合による休業となりますので、削減部分について労働契約上、通常勤務した場合に支払う賃金の6割相当額を休業手当として支払う必要が生じます。

しかし、労働基準法第26条が求めているのは、あくまで休業1日についての6割相当額です。労働すべき時間の一部についてのみ休業が生じた場合には少し取り扱いが異なります。

例えば、時間給1,000円で6時間勤務のパート労働者の場合で、1箇月の勤務日数20日、過去3カ月の歴日数を92日としてみましょう。

平均賃金=休業発生日前3カ月分の賃金総額÷3カ月の総歴日数
→1,000円×6時間×60日÷92日=3,913円(端数切捨て)
休業手当(休業1日)→3,913円×0.6=2,347円

となります。これは1日休業させた場合に補償しなければならない額です。

一部就労している場合には、その現実に就労した時間に対して支払われる賃金が、1日休業した場合に支払われる平均賃金の100分の60に満たない場合に、その差額を支払わなければならないこととされています(1948.8.7基収3445号)。

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