モノレールvs京急、羽田空港をめぐる鉄道アクセスの攻防が激化

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 JR東海にとって、羽田へのアクセスが便利になれば、屋台骨である新幹線の利用客減に直結しかねない。昨年暮れには前原誠司国土交通相(当時)が東海道新幹線の羽田空港乗り入れ案を要望した。東海道新幹線の回送線は田町から分岐して羽田のすぐそばにある大井車両基地に入り、そこから延伸すれば羽田への乗り入れが可能なためだが、東京駅の過密ダイヤを理由にJR東海は拒否した。

そこでJR東が模索する“ウルトラC”案が東海道貨物支線(浜松町-小田原間)の利用だ。同線はすでに羽田の地下を走っている。この貨物支線が東海道線などと結ばれれば、東京駅からの直通運転が可能となる。浜松町-東京貨物ターミナル駅間は1998年以降休止状態にあり、復旧費用は膨大になる可能性は高いが、利便性の向上は確実だ。

さらに、新宿・渋谷方面から羽田への直通案も浮上。埼京線と直通運転しているりんかい線の車両基地が東京貨物ターミナル駅と同じ敷地内にあることを利用し、埼京線-りんかい線-東海道貨物支線経由を実現できれば、羽田まで一本で結ばれる。

ただ、課題も残る。りんかい線の回送線は東京テレポート駅から車両基地に向かうため、直通とはいっても大きく迂回することになり、時間的なロスは大きい。そのため、天王洲アイル駅から車両基地に向かう新たなルートを作る必要がありそうだ。さらに、モノレールとの共食いも避けられそうにない。

城西・城北方面からのアクセスが大きく改善

一方、京急の今後のカギとなるのが東京急行電鉄・JRの蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ「蒲蒲線」構想だ。同区間が鉄路で結ばれると、西武池袋線・東武東上線-東京メトロ副都心線-東急東横線-東急多摩川線-京急空港線というルートで、城北・城西エリアの主要路線が羽田までつながる。


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