ヤマトの羽田新ターミナル、見えてきた巨大プロジェクトの全貌

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 総工費は約1400億円。うち土地代は支払い済みで、残りの542億円が今後必要な設備投資資金だが、ヤマトHDの9月末現金・現金同等物は1798億円、半期分の営業キャッシュフローは293億円なので、手元資金や営業CFで十分まかなえる。

新ターミナルは、太陽光発電の採用や雨水利用の打ち水などで、ブナ天然林3200ヘクタール、東京ドーム700個分の広さに相当する森林が吸収する量に匹敵する年1万4000トンの二酸化炭素排出量の削減も図る。これらによりCASBEE(建築物総合環境性能評価システム。建築物の環境性能評価格付け)で最高ランクのSを目指す。ターミナル周辺エリアを環境先進モデル地区とし、台車や新スリーター(リヤカー付き電動自転車)、軽商用EVを活用することで、エリア内集配における二酸化炭素排出ゼロも目指す。

敷地内には「和の里パーク」と名づけた4500平方メートルの地域貢献ゾーンも設置。託児所やフォーラム(体育館)のほか、スワンカフェ・ベーカリーも設ける。スワンベーカリーは障がい者の自立支援を目的に宅急便の生みの親、故・小倉昌男元社長・会長が始めた取り組みで、現在、全国に直営店3店、チェーン店が24店。スワンベーカリーで働いている障がい者は300人弱。

(山田雄一郎 =東洋経済オンライン)

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