既存ドック満杯で海運大型発注の効果も実現は先に

中国や米国の好景気を反映して、海運市況が高騰。つれて、海運会社による船舶の大型発注のニュースが続いている。当然、造船業界は゛我が世の春゛を謳歌していると思いきやさにあらず。理由は造船各社のドッグは既に満杯で、新規受注が即、収益に反映されることはないためだ。大手造船会社の手持ち受注額は現在、約3年分と言われる。この背景には、環境規制の強化によるタンカーのダブルハル(二重船底)化や経済危機から大幅なウォン安になった韓国造船会社との熾烈なトップ争いがあった。ただし、厳しい受注競争の結果、船価は決して高くない。このため、ここ数年、゛利益無き繁忙゛状態が続き、大手造船会社は会社分割などのリストラを強化してきた。実際、2002年10月には日立造船とNKKの造船部門が統合されて、ユニバーサル造船が新設されたほか、川崎重工も造船部門を分離して川崎造船を新設。石川島播磨重工も造船部門を、既存のIHIマリンエンジニアリングに統合した。また、2003年4月には、住友重機械が造船部門を分離して、住友重機マリンエンジニアリングを新設している。
 ところが、ここへきて中国向けの海上運送が予想を超えて伸びてきたうえに、当初、2015年が最終年度とされていたタンカーのダブルハル化が2010年に前倒しされ、受注増に拍車がかかった。この結果、直近の2003年の世界の受注総額はこれまで過去最高だった2000年の4600万総トンを抜いて、過去最高になる可能性が濃厚だ。こうした好環境から、先に触れたように、日本の大手造船会社のドックは満杯だが、船価が低いうえ、昨年後半から円高、鋼材値上げが追い打ちをかけている。このため、海運会社のように過去最高益をあげる状況にはとてもなく、収益の大幅好転があるとすれば、新規の受注が売り上げに計上されてくる3~4年後になりそうだ。
【日暮良一記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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