政治に超熱心な意識高い慶大生に会ってきた 【第1回】若者×政治に希望はあるか?

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常見 「経歴」ではなく、「熱意」で参加者を選ぶことで、参加者には多様性が生まれるという仕組みなわけだね。

青木 そうです。2000字のレポートを書いてもらうと、「政治について考えている学生」というのは、自然と分かります。全国的に知られている名門校の高校生は「学校名で通るだろう」と思って、真面目に書きません。それは内容以前の問題で、3行しか書いていなかったりします。

僕たちの運営方針として、そんな高校生より不器用でも2000字のレポートに「熱意」を持って取り組んでいる高校生に参加してほしいと思って、選考しています。だから「政治に本当に関心のある」高校生だけが参加してくれるプロジェクトになっています。

女子高生が気になるテーマは「社会保障」

常見 ところで参加者の男女比は?政治に熱いのは「男子」の方が多いのかな?

青木 割合的には、「女子」の方が多いですね。

常見 そうなんだ。その女子高生たちは、政治的にどんなことに関心があるのかな?「女性の社会進出・女性活用」のテーマ?

青木 社会保障に関心のある女子高生が多いです。女子高生の議論を聞いていて驚くのは「子育て」についての話題です。まだ女子高生なのに、「私たちの子供が」という言葉遣いをするのには、びっくりしましたね。

常見 既に母親の意識が。それは意識高いね。でも、社会の現実を反映しているのだろう。「高校生100人×国会議員」の当日はどんなことをするのかな?

青木 当日は、今の日本で若者が重要視しないといけない問題ごとに、「教育のテーブル」や「社会保障のテーブル」というようなテーブルを作って、そこに事前応募の希望に従って、10人ごとの高校生を振り分けます。そこに有識者の方についてもらいます。例えば教育のテーブルならば、文部科学省でずっと教育に携わっていた官僚の方に参加してもらい、加えて教育分野に力を入れている国会議員の方に入ってもらいます。

常見 「高校生100人×国会議員」というプロジェクト名だけど、参加してくれる大人は国会議員だけではないんだね。

青木 そうなんです。はじめは国会議員の方とだけの企画だったのですが、国会議員の方は「忙しい!」と言って帰ってしまう方もいて、来ている高校生は、「議員に意見がぶつけたかったのに…」とがっかりしてしまうケースが発生していました。今はスタイルを変えて、議員以外の有識者の方々には、はじめから一日中の参加ということで来てもらい、テーブルでの議論を整えてもらっています。

常見 参加してくれるのはどんな議員が多いの?年齢層や政党に偏りはある?

青木 最初はあまり声をかけても議員の方からの反応はなかったのですが、テレビなどに露出して認知度が高まると、多くの国会議員の方々が参加してくれるようになった。年齢層に関しては、やはり若手議員の方が、好んで多く来てくれます。政党に関しては、偏りなく、すべての政党から参加していただいています。その割合は、議席数の比率と同じくらいで、バランスよく各政党から議員の方が参加してくださっています。

そして、若い人の声をヒアリングするのはなかなか難しいので、「高校生100人×国会議員」を利用して、高校生とつながりを作っている国会議員の方もいらっしぃます。その方は後日、高校生を呼んで意見を聞き、政策に反映しているそうです。

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