パナソニックが全社で推進する“会社に通勤しない“働き方

パナソニックが全社で推進する会社に通勤しない働き方

パナソニックの本社R&D部門で働く30代の男性係長Aさん。平日、普段通りの朝6時半に起床するが、その日はスーツには袖を通さない。普段なら通勤電車に揺られている時間を利用して自宅の周りをゆっくりとジョギング。会社の始業時間となる午前9時、自宅から上司に仕事開始を連絡し、先週やり残していた実験結果のデータの整理にとりかかる。

午後5時半、仕事に一段落をつけ、職場や学校から戻ってきた妻や子供を出迎える。そして家族いっしょに夕食を食べ、テレビを見て、眠りにつく。

こうした「定時に職場に集まらない」働き方をパナソニックは“e−Work”と名づけ、全グループで強く推進している。

2006年、当時の社長だった中村邦夫・会長による「多様な働き方の推進は福利厚生というよりも経営施策だ」というメッセージの下、そうした働き方を促進する部署「e−Work推進室」が社内に発足。1年間の試行期間を経て、2007年4月から制度を本格的に開始した。

e-Workには在宅勤務の他にWeb会議システムの利用や、スポットオフィス(全国各地に設置した社員が自由に使える簡易オフィス)制度も含まれる。エンジニア、営業職、管理部門などのホワイトカラー職、合計約3万人の正社員がその対象だ。

在宅勤務制度については、現在年間5000人の社員が利用している。うち男性が8割、とりわけもっとも多いのが技術系の職種である。技術者の仕事は大掛かりな実験装置やワークステーションなどを使っての作業ばかりではない。実験で得られたデータの整理や分析、特許提出のための文書作成や、論文の執筆など。文書の整理・作成に費やされる時間は多い。ちょうどそうした時、誰にも邪魔をされない環境を作れる在宅勤務制度が威力を発揮する。

e−Workで生産性向上

社員からの反応は上々のようだ。パナソニックのe-Work推進室が利用者を対象に毎年行っているアンケート調査によれば7割強が「生産性の向上を図れた」と回答した。「個人生活が充実できた」と回答したのは過半数に及ぶ。アンケート調査から、具体的な声を抜き出してみる。

・通勤時間カットがメリット。育児にも参加できてよいと感じている(男性・技術職)。
・思考が中断されることがなく、熟考を要する業務に最適(男性・技術職)
・通勤に伴う疲労の軽減も伴って、非常に高い生産性を発揮できる環境(男性・デザイン職)
・ゆとりが生まれて、落ち着いた気持ちで子供と接することができる(女性・情報システム)

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