バンダイが放つ「のだめ化粧品」の狙いは何だ?《それゆけ!カナモリさん》

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 確かに作品中で主人公の、のだめこと、野田恵が化粧をしてひどい仕上がりになるシーンがある。しかし、そのいわれを知らなくとも、化粧に自信のない層や、まだ慣れていない若年層などはターゲットになり得る。

 リリースによると、「クレアボーテのホームページでは、動画でメイク方法をご覧いただけます」(現在は準備中)とあり、至れり尽くせりの構えを見せている。うまくターゲットを顧客化し、ファン化できれば、さらなるラインナップを拡充してクロスセリングを図ることも大いに期待できる、なぜなら、「ベルばら」や競合商品のターゲットは、もともとメークに関心があり、より効果的に(しかも安価に)仕上げたいと願う人々だ。「のだめ」のターゲットは自信がなかったり、慣れていなかったりする人であるため、囲い込みがしやすい。

 ただでさえ、女児向け玩具市場は急速な縮小をしており、加えて少子化というファクターも重くのしかかり、国内玩具市場は期待できない。バンダイがもう一段飛躍するためには、キャラクターやコンテンツを活用するというノウハウの集積にレバレッジを効かせ、新たな領域のビジネスを展開することが欠かせないのである。今回のキャラ化粧品が、どれだけ成功するのか、今後にも注目してみたい。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年10月29日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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