日中"無表情"会談、あいまい合意の危うさ

国内世論に配慮した玉虫色の決着

ひとまず実現した首脳会談。今後の関係構築が焦点に(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ぎこちない笑みを浮かべて歩み寄った安倍晋三首相に、中国の習近平国家主席は無表情のまま手を差し出した。握手する間、習主席は安倍首相とまったく目を合わせなかった。

APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席するため訪中している安倍首相は11月10日午後、北京の人民大会堂で習主席と会談した。日中首脳が正式に会うのは2011年12月の野田佳彦首相の訪中以来3年ぶりだ。

当日夜のCCTV(中国国営中央テレビ)は、習主席と外国要人の会談の様子を延々と報じた。安倍首相との会談が報じられたのはパプアニューギニアに続く7カ国目。数秒間だけ握手の場面が放映されると、画面はすぐ男性アナウンサーが政府発表の会談内容を読み上げる姿に切り替えられた。

会談実現に2つの条件

中国側がいかに国内の反発をおそれ、今回の会談の扱いに神経質になっているかがうかがえる。それは、日中間の信頼関係がいかに危ういものであるかを如実に示している。

会談で安倍首相は「中国の平和的発展は国際社会と日本にとって好機」と述べたうえで、「私の日中関係に対する思いは06年10月の訪中時から全く変わっておらず、今こそ『戦略的互恵関係』の原点に立ち戻り、それを再構築すべき」とした。

今回の首脳会談はギリギリまで実現が危ぶまれた。中国がホスト国である以上、少なくとも両首脳の立ち話程度はできるというのが基本的な相場観だ。しかし、正式な首脳会談を開くために中国側は、尖閣諸島をめぐって日中間に領土問題が存在することを日本側が認める、安倍首相が今後、靖国神社を参拝しないことを表明する、という2つを条件にしてきたとされる。

どちらも受け入れがたい安倍首相側は「前提条件なしの首脳会談開催」を主張してきた経緯がある。それだけに実現への調整は困難とみられてきた。

隘路を突破できた理由は、それぞれ国内世論を気にする日中が「あいまい決着」で手を打ったことだ。会談に先立つ7日に両国政府が発表した4つの合意事項に、そのあたりの事情が反映されている。同日に谷内正太郎・国家安全保障局長と中国外交のトップである楊潔・国務委員(副首相級)が会談してまとめたものだ。

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