メルコ・クラウン、「横浜か大阪にカジノを」 カジノは再開発のエンジンになる

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――日本ではIR推進法案が廃案になる可能性もある。自治体も首長がかわれば、方針が180度変わるかもしれない。こんな場所で事業を進めるのは、得策ではないように思いますが。

メルボルン中心部を流れるヤラ川南岸一体(写真の左側)は1990年代まで工場跡地が広がっていた。その再開発を推進したエンジンがカジノだった

ラグジュアリーな統合リゾートは、その地元に根ざしたものです。地元の支持がなければ、やりようがありません。IRの魅力はなにかといえば、まず大きな雇用を生み出します。クラウンタワーズ・メルボルンでは周辺を合わせて1万4000人働いている。1つの街を作り出すようなものです。メルボルンの場合はヤラ川南岸の再開発事業の一環として、IRを建設した経緯があります。メルボルン市とクラウンが手を組んで進めてきた再開発事業です。

もうひとつは、その街の象徴になる、ということです。日本ではゲーミングという言葉はダーティなイメージがあるようですが、われわれはマカオでもオーストラリアでも魅力的なホテルを経営しており、これをダーティだとは思っていない。海外からメルボルンにお客さんが来る際に、目的地としてクラウンがあるのは、大きな誇りです。

サーモンをさばく高級日本食レストラン「NOBU」の料理人。クラウンタワーズ・メルボルンでは多くの日本人が働いている

日本というマーケットは非常にエキサイティングだと思っているし、日本で仕事ができれば本当にうれしい。土曜、日曜になると10万人のお客さんが集まって楽しめるような場所を作りたいと思っています。

また、クラウンタワーズ・メルボルンにはNOBU、KOKOといった日本食のお店があり、これらのレストランは予約を取るのが難しいほど大人気です。そこでは日本人のスタッフもたくさん働いており、彼らの料理には多くのファンが付いています。日本の素晴らしさを知った、こうした顧客が、本場の日本に行ってみたいと思うのは当然であり、われわれが進出した場合には、周辺の店舗や施設にも好影響を与えることは間違いありません。

山下ふ頭、夢洲は魅力的

――大阪で地元の首長と会談するなど、自治体との話合いはそれなりに進んでいますよね。

はい。しかし、なんといっても"ステップワン"は中央政府がこれを認めること。自治体がIRを軸とした活性化策を進めることは、"ステップツー"です。IRへの投資は長期的なビジョンがなければできない。手掛けてから4~5年かけて50億ドルを投入する事業ですから、途中で方針が変わるようであれば、とても投資はできない。

――進出先として魅力的な場所はどこですか。

大阪の夢洲、横浜の山下ふ頭はスケール(広さ)があるので、魅力的な施設をつくれると思っています。その背景にある街も素晴らしい。世界に誇れるような施設をつくりだしていく自信があります。そのためにも、まずは"ステップワン"が前進してくれることを望んでいます。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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