フォードがマツダ売却へ 互いにはじく冷徹な計算

フォードがマツダ売却へ 互いにはじく冷徹な計算

「せっかくの会見がかすんでしまったなあ。もっと次世代技術について聞いてよ」。マツダのある役員はそうぼやいた。

10月20日に都内で開催された、マツダの次世代技術説明会。燃焼効率を大幅に高めた次世代ガソリンエンジンを来年前半に主力車「デミオ」に搭載し、ハイブリッド車並みの燃費30キロメートル/リットルを達成するという画期的な内容だった。が、記者団の関心は1点に集中する。米フォード・モーターによるマツダ株の売却についてだ。

大手各紙に「フォード、マツダ株を売却へ」との見出しが躍ったのは、その説明会より前の16日だった。現在フォードはマツダ株の約11%を保有する筆頭株主。フォードは年内にも出資比率を3%程度まで引き下げる見通しで、引受先としてマツダのメインバンクである三井住友銀行などの名が挙がっている。

説明会の席上、山内孝社長兼CEOは「フォードとの提携関係に変化はない。双方が利益を得られる提携を続ける」と繰り返すばかりだったが、マツダ株売却自体は否定していない。フォードが出資引き下げに動いていることはどうやら間違いなさそうだ。

株放出は既定路線

両社の関係は長い。フォードがマツダに出資したのは1979年。石油ショック後に業績低迷が続いたマツダを再建するため、当時の住友銀行が主導した。96年には出資比率を33・4%まで上げ、車台や部品の共有化を積極的に進めた。今でも山内社長は年2回フォードのトップと会合を持ち、開発担当の金井誠太・専務執行役も、フォード側との定例会を毎月続けている。

もっとも、フォードによるマツダ株放出は、半ば既定路線だった。ここ5~6年、マツダは独自色を強め、当面の切り札となる次世代直噴ガソリンエンジンやアイドリングストップなどの環境技術は、単独で開発している。「生産体制や取引先が違う以上、スケールメリットはほとんどない」(別のマツダ幹部)。2008年11月にフォードが持ち株比率を13・8%へ下げ、マツダが持ち分法対象から外れた時点で、この流れは固まっていた(昨年のマツダ増資で出資比率はさらに低下)。

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