日本の税制の課題は税収調達力と所得再分配機能の回復だ--峰崎直樹・内閣官房参与

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ところが、それらを持て余して投資はしない、税率を下げると投資が増えるとか言っているが、どうもよくわからない。

(早稲田大学大学院の)野口悠紀雄教授も雑誌に、法人税率は決して高くないと。下げるのなら、租税特別措置などの優遇措置を全部なくさないと、これほど不公平なことはない、と書いておられたように思うが、私もそうだと思う。

決して企業が敵だとかだめだと言っているのではなく、企業はもっとリスクをとって設備投資をしてくださいよ、という思いが強い。

--現状では、法人税を支払っていない欠損法人が全法人数の7割を占めます。

利益を上げる法人がなかなか増えないと残念だと思う。問題はそういう法人がずっと続いていること。なかなか不思議なところだ。

--雇用促進税制もなかなかイメージが湧きません。

なかなか難しいと思う。(雇用を)増やしたら税をまける、と言うのだが、中小企業は赤字の法人が圧倒的に多い。彼らの場合は、おそらく社会保障(の負担)をまけてもらったほうが大きいのではないか。

ただ、社会保障(の負担)は減らすわけにいかないだろうから、たとえば会計基準で考えて、人件費を割り増しで損金算入するとか、そういうことをやれば、人件費を増やそうということになるかもしれないが、儲かっていない企業はなかなか増やせないだろう。

--個人所得課税について。配偶者控除の存廃は大きなテーマになります。

配偶者控除は昨年、扶養控除と同時にやっておけば良かったが、子ども手当がらみで扶養控除を整理したものだから、配偶者控除を廃止すると、まったく純減(負担増)になる人たちが出てくる。その損得勘定が議論の俎上に乗ると、配偶者控除廃止となると、やあ損だ、得だとなる。

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