「車いすバスケ」の奥深い魅力 健常者もはまる激しさ

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「一緒に車いすでバスケやドッジボールをするなかで、人間の可能性や、障がいって何かを伝えたいんです」(根木さん)

順天堂大学の大学院生、渡邉夏美さん(24)は10月中旬、東京都内で開かれたスポーツイベントを訪れ、車いすバスケを体験。ほかの健常者らと一緒に、ミニゲームで根木さんに挑んだ。バスケ部に所属した経験もある渡邉さんだったが、歯が立たなかった。

「とにかく動きが速くて何度もディフェンスを抜かれました。必死に追いかけても追いつけない。遠くからシュートもどんどん決まるし……」(渡邉さん)

障がい者も健常者も

車いすバスケは、健常者と障がい者が同じ土俵でたたかうことのできる数少ないスポーツ。選手の障がいに応じて持ち点を定める独特のルールはあるが、コートやボールはふつうのバスケと同じ。ひとたび車いすに乗り、コートに立てば、障がいの有無に関係なく相手の身体能力の高さや人間力を実感できる。

欧州のプロリーグになると、さらに華やかだ。観客は1試合で千人規模。選手は鍛え抜かれた上半身と、細かくオーダーされた「ハ」の字形の競技用車いすを武器に、縦横無尽にコート上を駆けまわり、激しくぶつかり合う。そんな世界のプレーを20年東京パラリンピックでは見ることができるのだ。

根木さんは、三菱商事の障がい者スポーツ応援プロジェクトで、サポーター役の一人に選ばれた。10月16日に記者発表会があり、こう呼びかけた。

「スポーツで障がい者も健常者もひとつになりましょう」

(AERA編集部:塩月由香)

※AERA 2014年11月10日号

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