4カ月遅れの「ハネムーン」で時間稼ぎする菅首相

4カ月遅れの「ハネムーン」で時間稼ぎする菅首相

塩田潮

 「新首相のハネムーン」という言葉がある。

 首相が交代すると、新首相に対してしばらくの間、マスメディアもお手並み拝見という姿勢で厳しい批判は控えて動向を見守る。その間は内閣支持率もスタート時の好調を維持するケースが多い。これが新首相と国民、世論とのハネムーンだ。昔は6カ月といわれたが、現在は100日が通り相場となっている。

 菅首相の場合、6月の就任直後、支持率のV字回復を果たして、ハネムーンが始まったかに見えた。ところが、消費税増税発言、7月の参院選大敗と続いた。

 危機に立たされたが、9月の代表選再選を最優先にする作戦を取り、安全運転を心がけた。内外の重要諸課題はほぼ全部、代表選後まで先送りした。というよりも、9月までは「何もしない首相」に終始した。

 新婚旅行に出発するために成田空港まで行ったものの、「成田離婚」寸前となる。旅行を中止して自宅に戻り、以後、ずっと部屋に引きこもったままという感じだ。

 再選を果たし、10月1日の所信表明演説で、やっと「『有言実行内閣』の出発」と、新内閣のスタートのような言葉を口にした。就任から119日が過ぎ、100日といわれる「ハネムーン」はとっくに終わっているのに、菅首相は4ヵ月遅れの新婚旅行に出かけるような口ぶりであった。

 本来は国民、世論、マスメディアなどから容赦ない批判や攻撃が始まる時期だが、菅首相は所信演説でもその後の国会論戦や政権の舵取りでも、自身のビジョン、政治・経済の将来像、政権運営の方向性も明確にしない。衆参ねじれや巨大党内野党への配慮が必要と言い訳して、「菅政治」の中身を示そうとしない作戦なのか。

 国民は菅首相には理念や構想力、先見力が欠如していて「菅政治」には中身がないのではないかと疑い始めている。

 その疑念に答えずに、4カ月遅れの「ハネムーン」で時間稼ぎをしようとしても、「首相を簡単に交代させるのはよくない」という理由だけで続投を容認した国民は、いつまでも気長には付き合ってくれないだろう。
(写真:今井康一)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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